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このエントリーを含むはてなブックマークはてなブックマーク - ゴルフコースランキングの話 Yahoo!ブックマークに登録 このエントリをつぶやくこのWebページのtweets Share on Tumblr Googleブックマークに追加 Digg This

日本のランキングではなくアメリカのランキングについて書きたいと思います。

2つの代表的ランキング

アメリカのゴルフコースランキングでメジャーなランキングはGolf DigestとGolf Magazineの二つです。これら二つのリストには共通点も多いですが、顕著な相違点もあります。違いはどこからくるのでしょうか。

Golf Digest社 America’s 100 Greatest Golf Courses

Golf Magazine社 Top 100 Courses in the US

それぞれランキングシステムが公開されていて、かなり評価方法に違いがあることがわかります。

Golf Digestのランキング方法

ゴルフダイジェストでは954人のパネリストがの350余の候補から8つの項目別に点数をつけ、各項目ごとの平均を合計してランキングを作っています。このランキングから同時に100 Greatest Courses You Can Playと各州ごとのランキングが作られます。アメリカ以外の国のランキングも発表していますが、この954人のパネリストはあくまでアメリカ国内のパネリストで、国外についてはまた別にパネリストがいるようです。

Golf Magazineのランキング方法

ゴルフマガジンでは約100名のパネリストが約400からなる世界中の候補を自分がプレーしたコースの中で1位から順に順位をつけていきます。順位をつける基準は完全にパネリスト個人に任されています。それらのリストの上位3コースに100点、4位-10位に85点、11位-25位に70点、26位-50位に60点、51位-75位に50点、76位-100位に40点、101位-150位に30点、151位-200位に20点、201位-210位に10点、210位以下は0点をつけます。そして平均を取って世界ランキングを作ります。このリストの中でアメリカのコースだけを抜き出したものがTop 100 Courses in the USになります。

2つのランキングの違いはどこから来るのか?

最も大きな違いはパネリストに与えられた評価基準の有無です。ゴルフダイジェストでは例えば「メモラビリティ」に80満点中の10点が配点されており、メモラビリティを重視しようとしまいとメモラビリティにある一定の価値を置くことになります。一方ゴルフマガジンでは一切の基準がパネリストに委ねられており何を重視するかは人によって全く異なります。ちなみにゴルフマガジンではパネリストは公開されていて、設計者やコースオーナーは自分のコースに投票はできないことになっています。

ランキングを眺めてみるとだいたい似たような名前が見受けられます。現在も活躍中の設計者の名前を上げると、Tom Fazio、Bill Coore & Ben Crenshaw、Tom Doak、Jack Nicklausあたりでしょうか。もっとも評価に食い違いがあるのはTom Fazioでダイジェストでは15コースランクインしているのに対し、マガジンでは4コースです。これはおそらくダイジェストが評価項目に入れいているいくつかの項目がマガジンのパネリストたちがそもそも評価に入れていないか、8項目とは別の何かを重視しているかのいずれかまたは両方なのでしょう。個人的にはマガジンのランキングはメモラビリティやコースコンディションを考慮に入れていない印象を受けています。それは取りも直さず、Fazioのコースがこれらの2項目の評価が高いということを意味しますが、あくまで私見であることをお断りしておきます(汗)。ちなみにFazioのコースはお金持ちのコースが多く、池をふんだんに取り入れてメモラビリティを高めたり、メンテナンスに多額の費用を投じている印象が強いです。他方で戦略性やバラエティは他の著名設計者に劣るという印象を持っています。

ゴルフコースの評価について興味がある人は英語のサイトですがGolf Club Atlasというマニアックなサイトがオススメです。ここではマガジンのパネリストを努めている人たち(ダイジェストのパネリストは匿名)が日々意見交換をしたり、インタビューに答えたりしているのでとても勉強になります。

このエントリーを含むはてなブックマークはてなブックマーク - R&A サステイナブルセミナー Yahoo!ブックマークに登録 このエントリをつぶやくこのWebページのtweets Share on Tumblr Googleブックマークに追加 Digg This

先日横浜カントリークラブで行われたR&A主催のサステイナブルセミナーに参加してきました。

ゴルフにおけるサステイナビリティとは

サステイナビリティ(持続可能性)とは現在と未来のバランスが取れているということです。現在選択した行動・行為が未来の行動・行為を制限してしまうようなことがないような賢い選択をすることがサステイナブルな社会といえるでしょう。よってそれは環境問題でもあり社会経済問題でもあると考えることができます。現在のゴルフにおけるなんらかの選択や行為が環境を破壊し、将来世代に今ある環境を残すことができなければ、今の世代が享受している環境へ将来世代がアクセスできなくなってしまいますし、社会経済的に見て人々から需要されなくなってしまえばゴルフというスポーツは消えてしまい、将来世代はゴルフをすることができなくなるし、現在ゴルフ産業に従事している人たちが職を失ってしまいます。ですから、自分自身のみならず、自分たちの子供たちの利益を考えて、いま行動を起こすことが求められていると私は考えます。

サステイナビリティを測定する

サステイナビリティは漠然とした理念ではなく測定できなければ効果が明確にならず、よって正しく推進することができません。ISEALという組織は各分野でサステイナビリティを高める運動を行っている組織に認証を与えています。フェアトレード・インターナショナルレインフォレスト・アライアンスなどもメンバーに名を連ねていますが、ゴルフの分野では今回のセミナーで紹介されたGEO (Golf Environment Organaization)という非営利団体があります。GEOはゴルフ場、ゴルフ場開発者、トーナメントの3分野にそれぞれの認証を与えています。R&Aも積極的に関与しており、全英オープンはGEOの認証を取得しています。ゴルフ場にはOnCourseというオンラインの無料アプリケーションにデータを入力するだけで現在のサステイナビリティが計測され、またOnCourseに登録した各ゴルフ場同士のコミュニケーションの場が与えられていて情報交換ができるようになっています。よくPDCA (Plan Do Check Action) が重要だと言われますが、一番難しいCheck (効果の計測) の部分がこうして外部の信頼できる機関によって提供されていることはゴルフの強みと言え、今回のセミナーに出席して大変心強く思いました。

社会や環境と調和するために

今回のセミナーでサステイナビリティを向上させる具体的なプランとしてコース改造とメンテナンスがテーマとして取り上げられました。

ゴルフ場開発・改造

様々なゴルフ雑誌がゴルフコースのランキングを発表していますが、多くの場合半数以上は戦前のコースがランクインしています。これらのコースは大型の重機のない時代に非常に安価に作られています。何が言いたいかというと、コースの造成費用の多寡とコースの良し悪しは関係ない、ということです。むしろ、おカネをかけて大地を創造したようなコースほどワンパターンで面白みにかけるものになりがちで、サステイナビリティの観点からは環境破壊的でありかつゴルフの楽しみを半減させるような行為と言えるでしょう。

今回のセミナーでもこの点は強調されていましたがより具体的な方法が提示されました。ゴルフ場開発の場合は(1)そもそもゴルフ場に適した土地(地形や土壌の質)を選ぶこと、(2)もとからある地形の変化が生きるルーティング(レイアウト)を取ること、(3)バンカーや池など造成やメンテナンスに費用のかかる要素を必要最小限に留めること、(4)ゴルフ場のスタッフを造成や改造に積極的に関与させること、(5)その土地の気候や土壌に適した芝種を選ぶこと、などが挙げられました。

これらの要素は互いに関係しあっていますが、例えば(2)や(3)と(4)は見逃されがちな点で、コースを造成・改造する業者は費用がかかる方が利益が上がるので放っておくとどんどん地形をいじったり、余計な土壌「改良」剤を入れようとします。しかし、造成後の管理を任されるコース管理責任者やおカネを払う側のゴルフ場のスタッフが積極的に関与していればこういった問題はかなり回避できます(実際、「コンサルタント」の意見のみが取り入れられ、現場の責任者の意見は全く聞き入れてもらえず結局メンテナンスに苦労するという嘆きの声をよーく耳にします)。

メンテナンス

サステイナビリティに関連するメンテナンスに関しては日本のゴルフ場はかなり進んでいると思います。というのも、世界的に問題となっているの温暖化による水不足であり、日本のゴルフ場ではあまり多くの水を必要としないコーライ芝と野芝がゴルフ場のほとんどの面積を占めているからです。これは前節の(5)と関係しますが、気候・土壌に適した芝種を選べば環境への負荷が減ることの好例でしょう。アメリカでも南部地方では水を必要とする洋芝からコーライ芝への転換を検討あるいは実際に転換したゴルフ場は増えているようです。

メンテナンスをそもそも必要としないエリアを増やすことも環境負荷を下げる一つの方策です。これについては日本は遅れていると言えるでしょう。視野に入る全てのエリアがきれいに刈り取られていないといけないと考えているプレーヤーやスタッフがほとんどかと思いますが、これは「オーガスタ・シンドローム」だと思います。マスターズ・トーナメントが行われるオーガスタ・ナショナルは例外であって典型ではないと知るべきでしょう。多くの名コースではラフから少し外れると管理対象外の荒れ地となっていることの方が多いです(ただ、パインバレーのような「カネのかかった荒れ地」もあるのでやっかいです)。

今回会場となった横浜カントリークラブはパネリストとしても来場してたビル・クーア氏によって改造設計されました。改造後の横浜CCではラフの外側では草が伸ばしっぱなしの状態でしたが、むしろそれが景観に良い効果を与えていると思います。とはいえ、まったくボールが行かないわけでもないので論争のタネではあり頭の痛い問題です。

このエントリーを含むはてなブックマークはてなブックマーク - 日本のゴルフの歴史を変える横浜CCの改造 Yahoo!ブックマークに登録 このエントリをつぶやくこのWebページのtweets Share on Tumblr Googleブックマークに追加 Digg This

今日は改造工事を行っている横浜カントリークラブを見学してきました。

横浜カントリークラブは現在活躍している設計家の中ではトム・ドークとナンバーワンを争うビル・クーア&ベン・クレンショウのコンビが改造設計を担当しています。

ハッキリ言って、これはヤバイです。日本のゴルフが変わります。

設計者が決まった時点で彼らの凄さを知っている僕はそう思っていましたが、実際の改造の状況を見て革新しました。日本のゴルフの歴史に残る大きな一歩になると思います。

かつて東京ゴルフ倶楽部が当時のナンバーワン設計家であったハリー・コルトに朝霞コースの設計を依頼して、代理としてチャールズ・アリソンが来日し、日本に本格的なゴルフコースをもたらしましたが、結局その設計を受け継ぐ人は現れませんでしたし、アリソン自身が超一流の設計家であったかというと疑問符がつくことは否めないと思います。しかしながら、今回のビル・クーア&ベン・クレンショウは紛れもない世界のトップ設計家です。こんなことは日本のゴルフの歴史では初めてのことなんです。もう一方の雄であるトム・ドークと京葉は契約しているだけにその「初めて」の地位を逃したことは非常に残念で悔しいです。しかし、はやくこのコースでプレーしてみたいと今からワクワクしています!

このエントリーを含むはてなブックマークはてなブックマーク - 新練習グリーン、未だ使えず Yahoo!ブックマークに登録 このエントリをつぶやくこのWebページのtweets Share on Tumblr Googleブックマークに追加 Digg This

新しい練習グリーンですが、当初使用開始を予定していた7月頭から、だいぶズレこんでしまっていて大変申し訳ないです。思いの外、細かい不陸が多く、刈高を落とせない状態が続いています。

グリーンは最終的には4mm以下の刈高で刈りますが、細かい不陸があると狙った刈高よりもずっと短く刈れてしまうことがあります。例えば1、2mmの凹みが直径30cm程度あるだけで、その周囲の刈高はおそらく3mmを切ってしまいます。なので、そういった窪みを一つ一つ手で砂を入れてやって埋めていき高さ調整をする必要があります。しかし、夏は刈りこみ作業が一番忙しい時期ですし、ベントグリーンは暑さに弱いので手がかかります。限られた人員で手目砂をして調整していくには余裕がなく、時間がかかってしまっているのが現状です。

5mm近くまで刈高を落としてきましたが、部分的にかなり刈高が低くなり、はげてきている箇所が見られるので、刈高を上げざるを得ない状態です。既存の練習グリーンにも負担がかかるため、一日も早く新しいグリーンを仕上げたい気持ちでいっぱいですが、その他の作業もギリギリのところでやっていますので、もうしばらくお待ちください。

このエントリーを含むはてなブックマークはてなブックマーク - 新練習グリーン造成後経過 Yahoo!ブックマークに登録 このエントリをつぶやくこのWebページのtweets Share on Tumblr Googleブックマークに追加 Digg This

新たに増設した練習グリーンの緑が増してきました。4月前半は気温が低く心配もありましたが、その後は気温もグッと上がり順調です。予定通り7月には使いはじめることが出来そうです。場合によっては6月の終わり頃から使用を開始します。

2月28日造成中

3月17日播種した頃

5月22日現状

このエントリーを含むはてなブックマークはてなブックマーク - 京葉にサードウェーブコーヒーがやってきた Yahoo!ブックマークに登録 このエントリをつぶやくこのWebページのtweets Share on Tumblr Googleブックマークに追加 Digg This

今年の3月から京葉CCのホットコーヒーが美味しくなりました。

「サードウェーブコーヒー」という新しい波がやってきています。サードウェーブの定義はそれほど明確ではないようですが、「スペシャルティコーヒー」を使って丁寧に抽出したコーヒーを指すと僕は思っています。スペシャルティコーヒーの定義は日本スペシャルティコーヒー協会のサイトによると次のとおりです。

生産国においての栽培管理、収穫、生産処理、選別そして品質管理が適正になされ、欠点豆の混入が極めて少ない生豆であること。
そして、適切な輸送と保管により、劣化のない状態で焙煎されて、欠点豆の混入が見られない焙煎豆であること。
さらに、適切な抽出がなされ、カップに生産地の特徴的な素晴らしい風味特性が表現されることが求められる。

この波がどこから始まったのか専門家ではないのでよくわりませんが、サンフランシスコなどアメリカ西海岸はかなり熱いことになってます。昨年、Sightglass CoffeeBlue Bottle Coffeeなど何軒かコーヒーショップ巡りをしてきましたが、日本のThe Coffee ShopMocha Cafeなどもコダワリの感じるコーヒーを提供しています。最近では丸山珈琲が西麻布にやってきましたし、フランスのCoutumeが青山に店を出しました。東京のコーヒーシーンもどんどん変わってきています。

抽出方法もドリップだけではなく、フレンチプレスやエスプレッソ、サイフォンなど多様です。The Coffee Shopの富ヶ谷店や丸山珈琲の西麻布店、Coutume青山店では「スチームパンク」という面白い抽出方法も楽しめます。個人的にはフレンチプレスがコーヒーの旨味が強く出るので好きですが、高温を維持して抽出できるサイフォンやスチームパンクを推す人も多いようです。

京葉CCではThe Coffee Shopからシングルオリジンの豆を仕入れています。スペシャルティコーヒーの性質上、数量がそれほど確保できないこともあって、毎月豆の種類が変わっていく予定です。抽出方法は従来通りペーパーフィルターでのドリップですが、フレンチプレスなどに比べて旨味は落ちるもののすっきりして非常に美味しいコーヒーを提供できていると思います。

スターバックスの登場以前は酸味の強いコーヒーが主流でしたが、コーヒー本来のもつ酸味というよりも酸化した酸味であったため、深煎りのスターバックスのコーヒーはすっきりとした苦味が新鮮でした。現在は酸化した酸味でもなく、コーヒーを焦がした苦味でもなく、コーヒーが持つ自然な酸味や旨味、あるいはそれらの味と調和のとれたほのかに焦がした苦味といった、バラエティ豊かな味を楽しめるだけのクオリティを持った豆(スペシャルティコーヒー)が流通しています。みなさんも是非サードウェーブコーヒーを京葉で楽しんでください。

P.S. 個人的には紅茶も大好きなので、紅茶ももっと拘って美味しいものを提供していけたら嬉しいと思っています。

このエントリーを含むはてなブックマークはてなブックマーク - 2014年の全米オープン、全米女子オープンはパインハースト Yahoo!ブックマークに登録 このエントリをつぶやくこのWebページのtweets Share on Tumblr Googleブックマークに追加 Digg This

今年の全米オープンと全米女子オープンはパインハーストNo.2 で2週続きで開催されます。

ヘビーラフで有名な全米オープンですが、近年変化してきていますね。ラフはフェアウェイから離れるほど深くなるようにセッティングされるようになっています。昨年のメリオンではファーストカットを斜めに刈る専用の機械が開発されていました。

今年の開催コースであるパインハーストNo.2は数年前のBill Coore & Ben Crenshawによる大規模なレストアによってラフがなくなりました。パインハーストでの全米オープン開催は3度目になりますが、今回はどのようなトーナメントになるのか非常に興味深いです。しかも全米オープンの翌週にはそのまま全米女子オープンを開催するので、どうやってセッティングを変えてくるのかにも注目したいところです。

R&Aとともにルールを管理するUSGAは全米オープンをテストの場と捉えています。世界最高のプレーヤーが4日間でパープレーとなるコース、コースセッティング、クラブ、ボール等の設定の組み合わせを模索しているのです。その目標設定が一般のゴルファー全体にとって有益なことなのかはわかりませんが。個人的にはとっとと飛距離を抑える規制をボールかクラブにして欲しいところです。

Pinehurst No.2 5th hole in 2005

このエントリーを含むはてなブックマークはてなブックマーク - 新練習グリーン用の土壌サンプル分析結果詳細 Yahoo!ブックマークに登録 このエントリをつぶやくこのWebページのtweets Share on Tumblr Googleブックマークに追加 Digg This

ちょっとマニアックというか、同業者以外にはほとんど無意味な情報ですが、今つくっているグリーンに使う砂や土壌改良材の検査結果をここに報告したいと思います。

まずテストをしたラボですが、Tifton Physical Soil Testing Laboratoryという所です。USGAのサイトから認証をうけているラボを調べ、手順の説明のわかりやすさや価格などを総合的に検討してここに決めました。

テストの目的は今回使用する材料をどのように組み合わせればUSGAの基準を満たすか、ということです。砂、土壌改良材、砂利それぞれに個性があるので、それらの組み合わせによって結果が変化します。あるテストで基準を満たした砂と同名称(たとえばピートモス)の別の土壌改良材の組み合わせが基準を満たすかはテストしないと分からないのです。

USGAが推奨しているのは10cmの砂利層の上に30cmの混合層(通常は砂とピートモスのミックス)という構造なので、砂利、砂、ピートモスの3つの材料の組み合わせをテストします。傾向を見るために砂:ピートモスの比率を90:10、85:15、80:20でテストするのが標準ですが、検査する比率についてクライアントの要望次第です。今回われわれはピートモス以外に「プロファイル」という商品名の土壌改良材をテストしました。ピートモスが海藻から作られる有機物であるのに対し、プロファイルは無機物であるセラミックの一種で焼成し多孔質にしたものです。

この表はテストの主要結果をまとめたものです。テストは3つ、それぞれが3パターンをテストし傾向を探ります。ちなみに「多孔性」は土壌がどれくらいの空気を含めるかという空隙率を表しています。赤字で示したところはUSGA基準をみたさない項目です。

砂のみの検査結果をUSGAの推奨値と比較してみると、まず透水速度がかなり早いことと、土壌が水で飽和状態になったときの空隙率が低いことがわります。また、特に基準はないようですが、保水力も低いことが分かります。ピートモスなどの土壌改良材を混合するのはこのような欠点を改善するためです。

ピートモスの比率が上がると、透水速度が低下し、飽和時の空隙率が上り、保水性が高まることが分かります。プロファイルの場合は、透水速度が上昇し、乾燥時、飽和時双方の空隙率が上がり、保水性が高まっています。最後のピートモスとプロファイルを混合したのは、ピートモスを少しずつプロファイルで代替した場合にどのようなことが起きるのかを確認したかったためです。ピートモスの比率を一定にしているので、傾向はプロファイル単独の場合と同じ、かつより抑制されている感じですが、飽和時の空隙率と保水性は相乗効果があるのか、それぞれの単独使用よりも高まっています。

Tifton Physical Soil Testing Laboratoryが推奨した組み合わせは「砂80%+ピートモス20%」でした。「砂85%+ピートモス10%+プロファイル5%でも大丈夫だが、透水速度がやや早過ぎる」という指摘ももらいました。USGAの基準では毎時6インチ以上の速度があればよいとなっていますが、実際には早過ぎると乾燥しやすかったり、保肥力が低かったりして芝の生育が悪くなります。

日本のグリーンキーパーは梅雨の存在や高温多湿な気候を理由に透水速度が高いグリーンを好み傾向が非常に強いですが、僕のこれまでの実際の経験から言うと、その考え方は大変危険だと思います。透水速度が早過ぎる土壌は養分を蓄える力が弱く、いわゆる「地力」がない状態になりやすいです。また、乾燥しやすいことも芝への強いダメージの原因になります。グリーンキーパーが透水性に拘るのは、それまで与えられてきたグリーンの土壌があまりにも透水性が悪いからに他ならないのですが、行き過ぎ(高すぎる透水性)も問題だと思います。

プロファイルのような多孔質な無機物はスポンジのような働きをして保水力もありつつ潰れずに空隙率を維持するので透水も確保できるようです。時間が経つと様々な有機物が土壌中で分解されゴミとなって空隙率を下げ、透水性を低下させますが、こういった多孔質はその問題への改善策の一つになりえます。ただし、USGAも注意喚起しているようにこれらの無機物は似たようなものでも品質のばらつきが大きく、経年劣化し土壌中で崩れてむしろ空隙率を著しく低下させる要因になり得るので、その選択には十分注意が必要です。参考までにプロファイルは非常に硬く長期的にはピートモスよりも優れている、とのことです。これらの改良剤はピートモスに比べて価格もかなり割高になるので、コストパフォーマンスを考えて選びたいところです。

今回推奨された砂80%+ピートモス20%では保水性が低く心配だ、という複数のアメリカのグリーンキーパー(スーパーインテンデント)のアドバイスもあり、プロファイルを少し混ぜて保水性を高めることにしました。また、pHが低すぎるので炭酸カルシウムを混合して土壌が弱酸性になるように調整することにしました。

もう少し安定的に気温が高くなったところで種まきをします。

このエントリーを含むはてなブックマークはてなブックマーク - 練習グリーンの増設中 Yahoo!ブックマークに登録 このエントリをつぶやくこのWebページのtweets Share on Tumblr Googleブックマークに追加 Digg This

1番ホールと10番ホールのティインググランド付近にそれぞれ380㎡程度の練習グリーンを増設中です。

既存の練習グリーンは2面ありますが、一つは経年劣化による排水不良を起こしていて、もう一つは逆に土壌に使った砂が粗すぎて過剰排水で管理に非常に苦労をしています。排水不良している方をAグリーン、過剰排水の方をBグリーンと便宜上呼ぶことにすると、Aグリーンで使われている砂はもともと角張っていて締まりやすいものなうえに、これまでの管理で使用した薬剤や肥料による化学変化や残留物によって排水が悪化しました。Bグリーンは9年前にコーライグリーンをグリーン床からやりなおしてベント化したものですが、使用した砂や造成方法に問題があり、過剰に排水されている状態にあります。

9年前にBグリーンと6番ホールのグリーンを作りなおしましたが、当時の僕はグリーン造成の知識がなかったので、キーパー任せにしたところ、今から考えると非常に問題のある構造および材質を使ったグリーンを作ってしまいました。新しいにも関わらず、毎年6番ホールと練習グリーンBには苦労させられています。

これらのグリーンの不具合は造成してすぐから出始めていたので、グリーンの構造について遅まきながら勉強しました。いくつかのメジャーな造成方法があるなかで、USGAのグリーンセクションが推奨する方法が最も普及しているらしいことがわかってきました。その後、キーパーが変わりましたが、新しいキーパーはグリーンの構造に詳しく、USGA方式のグリーンを実際に作った経験のある人でした。京葉CCでもショートゲーム練習場のグリーンをUSGA方式で作りました。このグリーンはその後の猛暑にもビクともせず、冬の寒さにも問題がありません。グリーンの健康状態は根を見ればわかりますが、1年を通じてかなり深く(20cm以上)根を下ろしています。京葉の他のグリーンだと真夏などは3cm程度までになってしまうので、その差は歴然としています。もちろん、使用状態が異なるので一概に比較することはできないので注意が必要です。

以上のような経過から、今回の練習グリーンもUSGA方式で作ることにしました。グリーンの土壌は深さ40cmあります。下の10cmは砂利層です。上の30cmは砂と土壌改良材の混合層になります。土壌改良材には通常ピートモスという有機物を使いますが、最近では様々な無機物も使われるようになっているようです。今回はプロファイルという商品名の無機物も検討しました。

USGA方式のグリーンを作るには、まず材料(砂利、砂、改良剤)がその要件に適合しているかをUSGA認証ラボで検査しなければなりません。その結果、砂80%、ピートモス20%が望ましいことがわかりました。砂利は残念ながらテストをパスしなかったため、別の砂利を再テストしなければならなくなりました。こうした検査は送られてきた資材ごとに必要で、別のロットで大丈夫だったから、昔検査したから今回も大丈夫ということにはならず、また、それぞれの相性もあるので面倒は面倒です。

工事は天気にもよりますが、来週中か、遅くとも再来週の前半には終わる予定です。その後、暖かくなるのを待って(3月終わり頃)グリーンの種を蒔きます。品種は現在グリーンに使用しているタイイです。タイイよりも新しい品種がいくつも開発されていますが、京葉での使用実績やターフクオリティには満足しているので、未知の品種を試すリスクを負う必要は感じませんでした。

使用開始は7月1日を予定しています。使い始めはどうしてもスピードは出ないのでなかなか満足できるベルにはなりませんが、最終的には良いものになると思います。2面増えることにより、既存の練習グリーンへの負担も軽減されることを期待していますが、いかんせん土壌がかなり悪い状態にあるのでどうなるかわかりません。場合によっては新グリーンが安定した段階でこちらも土壌からやり直します。

【2014年3月13日追記】

別の砂利をラボに送って検査したところ、今回は無事パスしました。晴れて今回使った砂利、砂、ピートモスの組み合わせはUSGAの推奨に適合していることになりました。

このエントリーを含むはてなブックマークはてなブックマーク - ゴルフにおけるフェアネス Yahoo!ブックマークに登録 このエントリをつぶやくこのWebページのtweets Share on Tumblr Googleブックマークに追加 Digg This

ゴルファーはフェアネスを非常に気にする傾向がありますが、僕はこれはかなりどうでもいいことだと思っています。

設計のフェアネス・状態のフェアネス

「フェアである」とは「各プレーヤーが同じ条件でプレーできること」と定義すれば多くの人に同意してもらえるでしょうか。

このように定義した場合、コースの設計はどのプレーヤーにとっても同じなので、常に「設計はフェアである」となります。しかし、どのコースにも有利不利はあり、例えばオーガスタは昔からドローヒッター有利とされています。それではこれをもってオーガスタはフェアではない、フェードヒッターにも同程度有利になるように改造すべきだ、となるでしょうか。

すべてのコースはロングヒッターに有利にできています。ロングヒッターはいつでも短いクラブを使うことでショートヒッターになれるからです。だからこそゴルファーは飛距離アップに血道を上げるわけです。では距離の長いコースはアンフェアなのでしょうか。

今度は林間コースでのドッグレッグを考えてみましょう。ロングヒッターはグリーンを狙えるところまで飛ばせるが、ショートヒッターはそこまで飛ばず、林が邪魔で3打目勝負を余儀なくされるようなホールです。これはフェアでしょうか、アンフェアでしょうか。

ときどきバンカーの先に木が植えられているようなホールを見かけます。グリーンを狙う方向にボールを打つことが不可能なケースです。ダブルハザード(和製英語かと思いますが)とも呼ばれますが、これをアンフェアという人がいますが、どうでしょうか。上述の定義に照らせばアンフェアではないですよね。

このように考えると、コース設計由来のフェア・アンフェア問題は存在しないといえると僕は思います。単につまらないコースという烙印を押されるだけでしょう(よほどのマゾではない限り)。

では、コースの状態についてはどうでしょうか。マッチプレーであればほぼ同じ時刻にプレーするのであまり状態の変化はないのでフェアな状態を保てていると言えると思いますが、ストロークプレーの場合、スタート時間によって大きな差が出ることが普通です。

午前中は風が吹いていたのに午後は吹かなかったり、午後になったら雨が降り始めたりします。また、芝は一日のうちに伸びてくるので芝種によっては午後になると顕著に転がりが悪くなったりもします。最終組は多くのプレーヤーに踏まれ、凸凹になったグリーンでプレーします。しかし、これらは人智の及ばぬ自然の摂理の領域で、これをアンフェアだとするのは理不尽だと思います。

バンカーの砂質についても「フェアではない」とよく苦情が出ます。砂が柔らかければ目玉になりやすいと苦情が出ますし、硬ければクラブが跳ねると苦情が出ますが、結局は自分が打ちやすい状態を求めているだけなのだと思います。

ようするに何がいいたいかというと、フェアネスの概念を持ちだして自分のプレーを正当化するのは筋が悪い、ということです。そこが裸地であろうと、舗装された道路であろうと何であろうとあるがままにプレーするのがゴルフの基本です。ルールがそのような状況からの救済を許しているのは単に安全性の確保のためとゴルフのゲームとしての面白さを損ねないためだと思います。フェアネスとは何の関係もないと思います。

フェアネスではなく面白さを基準に

僕は上記すべてのケースにおいてフェアネスではなく、それぞれのプレーヤーが面白いと感じるかどうかを基準に考えればスッキリすると思っています。例えば、先ほど挙げた林間コースのドッグレッグの例を使うと、ドッグレッグを林ではなくバンカー群で実現すれば、ショートヒッターにもバンカーを迂回するルートとバンカー越えを狙うリスクを取ったルートという選択肢が実現し、面白さが増すといえるのではないでしょうか。このような発想の転換はフェアネスに立脚していてはできないと思います。ショートヒッターがロングヒッターに対して不利なことは変わっていないからです。

どうやら多くのゴルファーは「ゴルフコースはこうあるべき」というあるべき姿のイメージを持っているようです。しかし、僭越ながら僕は全く逆の考え方を持っていて「ゴルフコースはこうあるべきという姿は存在しない」と思っています。

マスターズは全世界的に見ても唯一毎年同じコースで開催されるメジャートーナメントだと思いますが、その会場であるオーガスタの美しい映像は日本人のみならず世界中のゴルファーを魅了しています。しかし、オーガスタはひとつの頂点ではあるものの、他にもまったく異なる方向性の頂点に立つコースが数多くあります。単にランキングという意味で言えば、はるかに格上と言えるパインバレーはオーガスタとは全く性格の異なるコースですし、セントアンドリュースもそれら二者とも違います。むしろ違うからこそ面白いわけです。

しつこいですが、バンカーの砂質についてもう一度考えてみましょう。日本ではバンカー用の砂はバンカー用の砂として流通しています。この砂を使うと目玉になりにくいし、本当に気持ちよくバンカーから球が出ます。スピンが掛かって止まります。プレーヤーの気持ちを考えたおもてなしの心を持ったバンカーになります。おそらくアメリカでも似たような状況だと思います。どこにいっても真っ白い砂で非常に打ちやすいです。この状況をトム・ファジオは「オーガスタシンドローム」と呼んでいます。オーガスタこそがあるべき姿であるとの誤解がアメリカでも蔓延していることを揶揄した表現です。

本来のゴルフは自然との戦いだと思います。リンクス(スコットランドの言葉で「砂丘」の意味)ではその名の通り砂丘の上にコースがあるので、穴を掘れば砂が出てきてバンカーになります。「バンカー用の砂」なんてものは存在しません。なので、その土地によってバンカーの砂質は異なります。セントアンドリュースのバンカーの砂などはサラッサラの極端に難しい砂質で、日本で使ったら苦情が止まらないと思いますが、セントアンドリュースでバンカー砂の文句を言っている人がいたら相当滑稽に見えますよね。

こんなこともありました。ある日本人の設計者の方が京葉を訪れて「ここはフェアウェイが少し張っていて、フェアウェイにティーショットが落ちてもヘタするとラフにまで散らばってしまうし、どこへ行くかわからないからフェアではない」と指摘されました。同時に「フェアウェイを少し削ってラフを盛り上げるべきだ、そうすれば、ボールはフェアウェイに集まってくる」とも。なるほど日本には凹型になったフェアウェイが多いのはこの考え方が設計者の間で一般的だからなんだなと納得しました。ここでもおもてなしの心が発揮されていて、なるほどと妙に感心した記憶があります。たしかに良いスコアが出ると面白いのですが、みんながみんな、このタイプの「面白さ」を求めているとしたら、なんだかガッカリですね。

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