Category Archives: Golf Course Design

ゴルフコースランキングの話

日本のランキングではなくアメリカのランキングについて書きたいと思います。 2つの代表的ランキング アメリカのゴルフコースランキングでメジャーなランキングはGolf DigestとGolf Magazineの二つです。これら二つのリストには共通点も多いですが、顕著な相違点もあります。違いはどこからくるのでしょうか。 Golf Digest社 America’s 100 Greatest Golf Courses Golf Magazine社 Top 100 Courses in the US それぞれランキングシステムが公開されていて、かなり評価方法に違いがあることがわかります。 Golf Digestのランキング方法 ゴルフダイジェストでは954人のパネリストがの350余の候補から8つの項目別に点数をつけ、各項目ごとの平均を合計してランキングを作っています。このランキングから同時に100 Greatest Courses You Can Playと各州ごとのランキングが作られます。アメリカ以外の国のランキングも発表していますが、この954人のパネリストはあくまでアメリカ国内のパネリストで、国外についてはまた別にパネリストがいるようです。 Golf Magazineのランキング方法 ゴルフマガジンでは約100名のパネリストが約400からなる世界中の候補を自分がプレーしたコースの中で1位から順に順位をつけていきます。順位をつける基準は完全にパネリスト個人に任されています。それらのリストの上位3コースに100点、4位-10位に85点、11位-25位に70点、26位-50位に60点、51位-75位に50点、76位-100位に40点、101位-150位に30点、151位-200位に20点、201位-210位に10点、210位以下は0点をつけます。そして平均を取って世界ランキングを作ります。このリストの中でアメリカのコースだけを抜き出したものがTop 100 Courses in the USになります。 2つのランキングの違いはどこから来るのか? 最も大きな違いはパネリストに与えられた評価基準の有無です。ゴルフダイジェストでは例えば「メモラビリティ」に80満点中の10点が配点されており、メモラビリティを重視しようとしまいとメモラビリティにある一定の価値を置くことになります。一方ゴルフマガジンでは一切の基準がパネリストに委ねられており何を重視するかは人によって全く異なります。ちなみにゴルフマガジンではパネリストは公開されていて、設計者やコースオーナーは自分のコースに投票はできないことになっています。 ランキングを眺めてみるとだいたい似たような名前が見受けられます。現在も活躍中の設計者の名前を上げると、Tom Fazio、Bill Coore … Continue reading

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R&A サステイナブルセミナー

先日横浜カントリークラブで行われたR&A主催のサステイナブルセミナーに参加してきました。 ゴルフにおけるサステイナビリティとは サステイナビリティ(持続可能性)とは現在と未来のバランスが取れているということです。現在選択した行動・行為が未来の行動・行為を制限してしまうようなことがないような賢い選択をすることがサステイナブルな社会といえるでしょう。よってそれは環境問題でもあり社会経済問題でもあると考えることができます。現在のゴルフにおけるなんらかの選択や行為が環境を破壊し、将来世代に今ある環境を残すことができなければ、今の世代が享受している環境へ将来世代がアクセスできなくなってしまいますし、社会経済的に見て人々から需要されなくなってしまえばゴルフというスポーツは消えてしまい、将来世代はゴルフをすることができなくなるし、現在ゴルフ産業に従事している人たちが職を失ってしまいます。ですから、自分自身のみならず、自分たちの子供たちの利益を考えて、いま行動を起こすことが求められていると私は考えます。 サステイナビリティを測定する サステイナビリティは漠然とした理念ではなく測定できなければ効果が明確にならず、よって正しく推進することができません。ISEALという組織は各分野でサステイナビリティを高める運動を行っている組織に認証を与えています。フェアトレード・インターナショナルやレインフォレスト・アライアンスなどもメンバーに名を連ねていますが、ゴルフの分野では今回のセミナーで紹介されたGEO (Golf Environment Organaization)という非営利団体があります。GEOはゴルフ場、ゴルフ場開発者、トーナメントの3分野にそれぞれの認証を与えています。R&Aも積極的に関与しており、全英オープンはGEOの認証を取得しています。ゴルフ場にはOnCourseというオンラインの無料アプリケーションにデータを入力するだけで現在のサステイナビリティが計測され、またOnCourseに登録した各ゴルフ場同士のコミュニケーションの場が与えられていて情報交換ができるようになっています。よくPDCA (Plan Do Check Action) が重要だと言われますが、一番難しいCheck (効果の計測) の部分がこうして外部の信頼できる機関によって提供されていることはゴルフの強みと言え、今回のセミナーに出席して大変心強く思いました。 社会や環境と調和するために 今回のセミナーでサステイナビリティを向上させる具体的なプランとしてコース改造とメンテナンスがテーマとして取り上げられました。 ゴルフ場開発・改造 様々なゴルフ雑誌がゴルフコースのランキングを発表していますが、多くの場合半数以上は戦前のコースがランクインしています。これらのコースは大型の重機のない時代に非常に安価に作られています。何が言いたいかというと、コースの造成費用の多寡とコースの良し悪しは関係ない、ということです。むしろ、おカネをかけて大地を創造したようなコースほどワンパターンで面白みにかけるものになりがちで、サステイナビリティの観点からは環境破壊的でありかつゴルフの楽しみを半減させるような行為と言えるでしょう。 今回のセミナーでもこの点は強調されていましたがより具体的な方法が提示されました。ゴルフ場開発の場合は(1)そもそもゴルフ場に適した土地(地形や土壌の質)を選ぶこと、(2)もとからある地形の変化が生きるルーティング(レイアウト)を取ること、(3)バンカーや池など造成やメンテナンスに費用のかかる要素を必要最小限に留めること、(4)ゴルフ場のスタッフを造成や改造に積極的に関与させること、(5)その土地の気候や土壌に適した芝種を選ぶこと、などが挙げられました。 これらの要素は互いに関係しあっていますが、例えば(2)や(3)と(4)は見逃されがちな点で、コースを造成・改造する業者は費用がかかる方が利益が上がるので放っておくとどんどん地形をいじったり、余計な土壌「改良」剤を入れようとします。しかし、造成後の管理を任されるコース管理責任者やおカネを払う側のゴルフ場のスタッフが積極的に関与していればこういった問題はかなり回避できます(実際、「コンサルタント」の意見のみが取り入れられ、現場の責任者の意見は全く聞き入れてもらえず結局メンテナンスに苦労するという嘆きの声をよーく耳にします)。 メンテナンス サステイナビリティに関連するメンテナンスに関しては日本のゴルフ場はかなり進んでいると思います。というのも、世界的に問題となっているの温暖化による水不足であり、日本のゴルフ場ではあまり多くの水を必要としないコーライ芝と野芝がゴルフ場のほとんどの面積を占めているからです。これは前節の(5)と関係しますが、気候・土壌に適した芝種を選べば環境への負荷が減ることの好例でしょう。アメリカでも南部地方では水を必要とする洋芝からコーライ芝への転換を検討あるいは実際に転換したゴルフ場は増えているようです。 メンテナンスをそもそも必要としないエリアを増やすことも環境負荷を下げる一つの方策です。これについては日本は遅れていると言えるでしょう。視野に入る全てのエリアがきれいに刈り取られていないといけないと考えているプレーヤーやスタッフがほとんどかと思いますが、これは「オーガスタ・シンドローム」だと思います。マスターズ・トーナメントが行われるオーガスタ・ナショナルは例外であって典型ではないと知るべきでしょう。多くの名コースではラフから少し外れると管理対象外の荒れ地となっていることの方が多いです(ただ、パインバレーのような「カネのかかった荒れ地」もあるのでやっかいです)。 今回会場となった横浜カントリークラブはパネリストとしても来場してたビル・クーア氏によって改造設計されました。改造後の横浜CCではラフの外側では草が伸ばしっぱなしの状態でしたが、むしろそれが景観に良い効果を与えていると思います。とはいえ、まったくボールが行かないわけでもないので論争のタネではあり頭の痛い問題です。

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日本のゴルフの歴史を変える横浜CCの改造

今日は改造工事を行っている横浜カントリークラブを見学してきました。 横浜カントリークラブは現在活躍している設計家の中ではトム・ドークとナンバーワンを争うビル・クーア&ベン・クレンショウのコンビが改造設計を担当しています。 ハッキリ言って、これはヤバイです。日本のゴルフが変わります。 設計者が決まった時点で彼らの凄さを知っている僕はそう思っていましたが、実際の改造の状況を見て革新しました。日本のゴルフの歴史に残る大きな一歩になると思います。 かつて東京ゴルフ倶楽部が当時のナンバーワン設計家であったハリー・コルトに朝霞コースの設計を依頼して、代理としてチャールズ・アリソンが来日し、日本に本格的なゴルフコースをもたらしましたが、結局その設計を受け継ぐ人は現れませんでしたし、アリソン自身が超一流の設計家であったかというと疑問符がつくことは否めないと思います。しかしながら、今回のビル・クーア&ベン・クレンショウは紛れもない世界のトップ設計家です。こんなことは日本のゴルフの歴史では初めてのことなんです。もう一方の雄であるトム・ドークと京葉は契約しているだけにその「初めて」の地位を逃したことは非常に残念で悔しいです。しかし、はやくこのコースでプレーしてみたいと今からワクワクしています!

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ドークスケール —The Doak Scale—

トム・ドークはこれまで何冊かのほんを書いていますが、そのうち”The Anatomy of A Golf Course”と”The Confidential Guide to Golf Courses”は有名で、前者はアメリカの大学で教科書に採用されている古典となっているそうです。後者は自ら設計者であるにもかかわらず約800の世界中のゴルフコースを忌憚なく評価し、物議をかもしました。 この本はいわばゴルフ版のミシュランガイドです。旅をする友人のためにどのコースに行くべきで、どのコースは避けるべきかを知らせるために書いたものがベースになっています。その評価の基準を以下でご紹介しましょう。 これは1996年に書かれた本ですが、ドークは93年に日本に来ていてカレドニアン、ゴールデンバレー、東広野、廣野、北海道クラシック、北海道ゴルフ倶楽部、霞ヶ関、川奈、神戸、武蔵、名古屋、鳴尾、小樽、パインレーク、太平洋御殿場、東京、富里がリストアップされています。これらのコースについての評価は怖くてここでは書けないので、興味のある人は僕に連絡を(廣野、川奈が8、東京、鳴尾、霞ヶ関東が7です)。京葉の評価は怖くて聞けませんでしたが、右腕のブライアンに聞いたところ「おそらく2か3だろう」ということでした。 0 – あなたの精神を害するほどわざとらしく不自然なコースで、いかなる状況においてもお薦めしない。造成のためにバカバカしいほど多くの資金を無駄にしたコースで、そもそも最初から造られるべきではなかった。 1 – とりあえずゴルフコースの形をしているコース。設計上明らかな誤りがあるか、メンテの状態が悪いか、そのどちらかかあるいは両方。どれだけゴルフに飢えていても避けるべき。 2 – 設計上の面白みはないが、かといってヒドイところもない平凡なコース。私の友人のデーブ・リチャーズ曰く「ダーッとプレーして、ガーッとビールを飲むためのコース」。 3 – 世界的に見て概ね平均的なコース(ただし、私は「平均的なコース」を見るために旅をするわけではないので、必然的に私のスケールは「良い」「すごい」「最高」に偏っている)。 4 – まぁまぁ面白いコース。18ホール中何ホールか際立っているか、少なくとも風光明媚であったり楽しいゴルフができる。また非常に良いコースであるものの、優れたゴルファーにとって十分なチャレンジを与えるには短すぎたり狭すぎたりするようなコースもこの範疇に入る。 5 – 平均よりずっと良いコース。しかし、私のスケールの中ではちょうど真ん中。近くにいてゴルフがしたくなった時にちょうどよいコースであるが、アラスカにでも住んでいない限りわざわざ一日かけて訪れるほどの価値はない。 6 – 非常に良いコース。そのコースのある町に居合わせたなら間違いなくプレーする価値がある。しかしわざわざ旅してまで見に行く価値があるかは微妙である。ガッカリさせることはないであろう。 7 – 素晴らしいコース。コースから100マイル以内にいるなら見に行くべき。きっちりしたデザイン、面白いホール、よい状態、快適さを楽しめるだろう。しかし、ゴルフの世界に何か特別なものを与えているようなレベルとは必ずしも言えない。 8 – その地域で最も優れたコースの一つ(ある地域では多くのスケール8のコースが散在する一方で、全く存在しない地域もあるが)で、特別に旅を仕立てる価値がある。いくつか欠点はあり、簡単に書きだすことができるかもしれないが、全体として素晴らしいレイアウトに加え本当に特別な面白さによって打ち消されるだろう。 … Continue reading

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ゴルフマガジン 世界100選 2011 雑感

8月1日にアメリカのゴルフマガジン誌が2年に一回発表する世界ランキングが発表されたようです。 上位はあまり変わらずで、Coore & Crenshaw が改造したパインハーストが19位から15位にランクアップしたことが目につくぐらいでしょうか。ロスアンジェルスCCも52位から39位にかなりのランクアップを果たしていますね。ここは東京ゴルフ倶楽部の改造を行ったGil Hanse が改造して評価を高めています。韓国のナインブリッジズは毎回着実に順位を上げていて、今回は55位から49位に上がっています。新しいコースや最近改造したコースは、パネリストへの周知に時間がかかるので評価が大きく上がることがあるようです。 今回新たにリストに加わったのは、4コースあります。Tom Doakのオールドマクドナルド、Gil Hanseのキャッスルスチュアート、Davis Love IIIのディアマンテ、Coore & Crenshaw のロストファームです。これにより、前回ぎりぎりでランクインしていた日本の鳴尾が100選から姿を消しました。改造をして評価を高めた東京はわずかにランクアップして96位に留まっています。毎回、数コースが新たにランクインしてくるので、何もしなければランク外に外れてしまうのが90位台のコースの大変なところで、しのぎを削る世界でもあります。 今回のランキングではTom DoakとCoore & Crenshaw がともに1コースずつランクインさせているのでTom Doakが5コース、Coore & Crenshawが4コースランクインと、この両者の激しい戦いは続きます。とはいえ、この両者はとっても仲が良いそうで、お互いを高め合う良いライバルですね。現在隣り合うコースをそれぞれフロリダに造成中だそうで、完成が楽しみです。アメリカ・オレゴン州にあるバンドンリゾートとオーストラリア・タスマニアにあるバーンブーグルリゾートでは両者の世界クラスのコースがいっぺんに楽しめるので、お得です。

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バンカーの砂質について

バンカーの良し悪しは主観的なものなんだってことをよく覚えておこう。 —USGA Green Section ゴルフの歴史を学び、またスコットランドのリンクスでプレーしてみてバンカーの砂質はどうあるべきかについて大いに考えさせられた。 USGAのグリーンセクションはバンカー砂についてのガイドラインを1983年に発表しているが、基本的には具体的な指定はしていない。 The USGA has never had specifications for bunker sands. The article “Selecting and Handling Sand,” Green Section Record , November/December 1983, provides general guidelines regarding the sand’s particle size, shape, composition, color, and other … Continue reading

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ゴールデンエイジ、暗黒時代、ルネッサンス

Golf Magazine誌の最新の世界ランキングのトップ10を見るとその中での一番新しいコースは1933年オープンのAugusta Nationalとなっている。またトップ100全体で見ると1930年代以前に作られたコースが75コースがランクしている。1940年代と1950年代に造られたコースでランクインしているものは一つもなく、1990年代以降に造られたコースが20コース入っている。大恐慌以降の1940年から第二次世界大戦を経て1990年以前までの約50年の間に造られたコースがたったの7つしかランクしていないいびつな状況がある。 大恐慌は1929年に勃発したが、それ以降もしばらくは新たなゴルフコースが造られた。ゴルフ設計の本当の終焉は1937年の2番底であったと言えるだろう。これは日本のバブル崩壊が実際に崩壊した1991年よりも山一証券や拓銀の破綻といった金融危機が起きた1997年が日本経済に決定的なダメージを与えたのと相似している。実のところ、35位にランクインしているBethpageはF. D. ルーズベルトのニューディール政策の一環として1935年に造成されたものだ。この傾向は世界的に見ても同様で、イギリスや日本でも1935年頃を最後にランクインするようなゴルフコースの造成は終結している。 第二次世界大戦後に活躍した設計家はロバート・トレント・ジョーンズである。そしてその後に続いたのはピート・ダイである。ダイは60年代から90年代までの非常に長い期間に渡って評価の高いコースを残して来た。90年代にトップに上り詰めたのはトム・ファジオである。彼の叔父のジョージ・ファジオはプロゴルファー出身の著名な設計家で、トム・ファジオは叔父との共同設計で行ったパインハーストNo.6がデビュー作である。90年代のアリゾナで砂漠の中にシャドー・クリークという別世界を創造したことで有名である。 しかし、ピート・ダイのいくつかの例外を除いて、これらの時代は設計の暗黒時代と言って良いだろう。トム・ファジオがアメリカ経済の好調を背景に華々しい活躍をする陰で、ビル・クーア&ベン・クレンショーのコンビやトム・ドークといったコース設計の「ルネッサンス」を唱えるグループが出現していた。彼らの特徴は、大地を「創造」するトム・ファジオやジャック・ニクラウスらとは大きく異なり、地形を生かし、環境を壊さず、費用をかけないことにある。また、その設計手法においてもゴールデンエイジのコースや設計家を研究し尽くしている点にも特徴がある。 Barnbugle Dunes by Tom Doak Bandon Trail by Bill Coore & Ben Crenshaw 我々に利用可能な知識と技術は進歩しているのに戦後に設計されたコースが戦前のコースと比較して高い評価を得ないのは不当なのだろうか?これには様々な理由が考えられる。良いコースが生まれるにはいくつかの条件が必要で、それらの最上位には地形が挙げられる。ゴルフに適した地形、というのみならず既に造られたコースとは特徴の異なる地形でなければならないため、新しいコースはその点において常に不利である。テクノロジーの進歩によってかなり克服されてはいるものの、土壌も重要である。特に砂地での造成はコストもかからないし、芝草の育成に適しているため、設計上の多少の無理が利く。土地を離れたところでは設計を依頼するクライアントも重要な位置を占める。クライアントであるオーナーや委員会が不見識な意見を通そうとすれば良いコースが生まれる確率が格段に低くなるのは自明である。 「よい地形」とは例えば「フラットな地形」とか「適度にうねった地形」といった漠然としたものでは不十分で、「他にはない地形でゴルフに適している場所」という条件が必要になるし、土壌も関係してくるとなると、新しいコースはますます不利になる。都市から近い場所では経済の発展とともに環境問題もクローズアップされてくるし、地価も上昇する。また、クライアントも戦前と較べて進歩したかと言えば大いに疑問である。例えばパインバレーを造ったジョージ・クランプは自らがオーナーであり設計者であったし、オークモントのヘンリー・フォウンズも同様である。もちろんC. B. マクドナルドのNational Golf Links of Americaも設計者自らがオーナーであった。また重要なことに、当時の設計者達は互いに設計地を訪れて意見を交換しあったことも設計を向上させる要因となったであろう。多くの人の意見を取り入れることでワンパターンになることを防げるのである。 では、ルネッサンス時代の設計家達はどうであろうか。クーア&クレンショーやトム・ドークは年間に引き受ける仕事を制限していてせいぜい年間に4コースしか仕事をしない。設計料もジャック・ニクラウスらに較べれば安い。しかし彼らはこうすることによって地形とクライアントを選べるのである。彼らにとって重要なことは偉大なコースを設計することと同時に駄作を残さないことなのである。例えばトム・ドークは30番目のコースであるOld Macdonaldが世界100選に入るとすると30コース中5コースが世界のトップ100に入っている、ということになり、極めて打率が高いことがわかる ((ちなみにジャック・ニクラウスと共同設計したSebonackも100選に惜しい位置にいる。これはアメリカ100選の順位からわかる。))。 果たしてゴルフのルネッサンスは2008年の金融危機で終わりを告げた、と歴史が証言することになるのであろうか。

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月刊チョイス185号の付録でのUSGAグリーンの解説は間違い

月刊チョイス185号に「ラインが見える!グリーンのすべて」という付録がついていて、グリーンの構造について解説が付されている。クレジットを見るとコース設計家の倉上俊治氏と佐藤謙太郎氏が解説として記載されているが、内容はキチンと確認されたのであろうか。USGAグリーンの記述に関してとんでもない間違いがある。以下にその内容を引用する(強調は筆者)。 現在、日本で最もポピュラーなグリーンの構造はUSGA方式のサンド構造で、ベント芝の育成に適した保水性と透水性の基準を満たすよう、地域やコースによって微妙なアレンジが加えられている。 地下は大きく3層に分かれている。芝面に最も近い約15センチは、細かい砂をベースにした土壌改良の層で、肥料と改良材がミックスされている。その下の約15センチは、丸い小粒の砂の層があり、ここが主に透水性をコントロールする。さらにその下、約10センチはさやえんどう大の玉砂利を敷き詰め、排水と冷却の役割を担させている。 その下の土壌に埋設された、直径10センチの排水用の管を「肋骨(魚骨)排水」と呼ばれる形状に配し、雨水や散水を中心の管に集めて流す構造になっている。 雨の多い日本では、高い排水能力が求められるのは当然だが、一方で肥料まで一気に流してしまうわけにはいかない。四季や地域に応じた透水速度を保つことが、日本では重要となる。 —月刊チョイス185号付録「ラインが見える!グリーンのすべて」 このような書き方をすれば、ここで説明されているグリーン構造はUSGAの推奨する方法であると読み手は思うであろう。注意深く読めば、「これがUSGAグリーンです」とは書いていないが、そう言い逃れるのであれば、それは詐欺に近い。 以前のポストでも日本のゴルフ界にはびこるこの問題について書いたが、日本のコース設計者およびゼネコンのほとんどが、この方法がUSGA方式であると信じて疑っていないらしい。しかし、それはゴルフコース経営者の立場やコストを負担するプレーヤーの立場からすれば、不適切な構造のグリーンを押し付けられて余計なコストを負担することになるわけだから、黙ってはおけない。 真のUSGAグリーン このグリーン構造がUSGA方式であるならば、出典を明らかにしてもらいたい。どのような資料に依拠してこれをUSGA方式と呼んでいるのだろうか、まことに不思議である。インターネット普及以前であれば、USGAが公式に発表している資料にアクセスできる人は限られていたであろうが、現在ではネットにアクセスさえできれば世界中どこからでもUSGAの公式の情報を得ることができる。以下はUSGAが推奨するグリーン造成方法 “Recommendations for a method of putting green construction” の混合層に混ぜる無機物に関する注意点からの引用である(強調は筆者)。 Inorganic and Other Amendments: Porous inorganic amendments such as calcined clays (porous ceramics), calcined diatomites, and zeolites may be used in … Continue reading

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パインハーストNo.2の改造—Lost Artの復活—

2014年に全米オープンと全米女子オープンが2週続きでパインハーストNo.2で開催される。パインハーストはドナルド・ロスの代表作であり、コースの脇に居を構えて30年(1907年から1936年まで)に渡って完成度を高め続けたコースである。 ランキングでもトップ10の常連コースであったが、近年評価を落としている。その理由は外部からは分かりようもないが、その100年にも及ぶ長い歴史の中でパインハーストNo.2はロスの理念を失ってしまったのである。 ロス自身はNo.2について次のように語っている。 Pinehurst Number Two is the kind of course where every bunker could be removed and you’d never know it. Bearing in mind that golf should be a pleasure and not a penance, it has always been my … Continue reading

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「USGAグリーン」はブランドではない

Almost a decade of investigation after this and other research, the USGA Green Section published Specifications for a Method Of Putting Green Construction in the September 1960 issue of USGA Journal and Turf Management. It presented a construction technique that … Continue reading

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