Category Archives: Turf Management

練習グリーン造成4年後

4年前に練習グリーンを2面増設しました(その時の記事はこちらやこちら)。今回はその後の経過について書きたいと思います。 当時の懸念事項として透水速度の速さがありましたが、やはり透水の良すぎで苦労しています。USGA基準では毎時6インチ以上の透水速度が推奨されている中、今回使用したサンプルでは27.5インチ/時はさすが透水が良すぎたようです。 透水が良すぎる原因は砂の粒度分布にあり、砂の粒度をもっと慎重に選択するべきでした。この直接的な帰結として土壌が肥料を保持する力が弱く芝に適切な養分供給ができないため、ターフの密度が薄く、また一本一本の葉や茎が弱く色も薄くなりがちになります。 京葉CCでは葉面から肥料を供給する肥料を多く使っているのですが、やはりそれだけでは不十分であり、土壌中の養分がいかに大事であるかを再認識しました。いま手元に資料がないのですが、土壌分析を定期的に行っているので、その点については改めてデータを元に検証したいと思います。 透水速度との関連があるのか不明ながら起きている不具合としては苔の繁殖が挙げられます。これは2つ増設したグリーンのうち風通しや日当たりの悪い方のグリーンに発生しているため、土壌ではなく通風と日照の問題かもしれません。 現時点での評価は以下のとおりです。 この2つのグリーンの前に作ったアプローチ練習場のグリーンは透水速度も適切なUSGA推奨値を満たした土壌で、非常にうまくいっていることと、今回の2つのグリーンの状況を考えると、既存のグリーンに較べてUSGAグリーンは日本の気候にかなりよく適応すると言えるでしょう。 ただし、興味深く見守っているのですが、従来のコーライグリーンにオーバーシードして転換したタイイのグリーンもかなり状態良く経過していることから、土壌の条件以上に品種の進化の影響が大きい可能性もあります。 いずれにせよ、新しい品種に適切な土壌を与えれば、これまでよりも遥かに楽に良い状態を維持することが可能である、ということは明らかなようです。

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コース管理コストの日米比較

ゴルフ業界向けの雑誌『ゴルフマネジメント』5月号にアメリカのコース管理実態のレポートが載っていたので、京葉CCや国内のゴルフ場と比較しながら紹介したいと思います。このレポートはアメリカのGolf Course Industry誌によるコース管理の実態調査結果を転載したものです(元記事はこちら)。 まず、管理予算は増加傾向にあり、2016年は75万ドルが平均となっています。1ドル110円として計算すると日本円で約8,250万円になります。計上している項目が全く同じかどうか不明なので直接の比較は難しいかもしれませんが、あえて一覧にしてみました。 コース管理予算の日米比較 比較対象の3ゴルフ場はコース管理費の内訳を公表していて、一季出版『ゴルフ場企業決算年鑑平成29年度版』にまとめられているので、そちらから集計しました。いずれも京葉と同時期にオープンしたゴルフ場です。 こうしてみると、意外なことに労務費は日米の別なくどこもだいたい同水準であり、アメリカの肥料薬品費がかなり少ないことがわかります。管理費総額についてもアメリカのほうがずっと少ないことは意外です。 意外な結果の内側を探ってみると 実はこれにはトリックがありそうです。下のグラフを見てください。 これは管理費用の水準別にゴルフ場数を集計したヒストグラムですが、平均である75万ドルを境に山が2つあることが見て取れます。よく見ると20万ドル〜30万ドルのところにも山があります。これは予算が潤沢なプラベートクラブと予算の限られたパブリックコースと、さらに予算が少ない市営のようなムニシパルコースの3つの分布が重なったために生じた山と予想されます。 このように質的に異なる対象が混ざっている場合には「平均」については注意なければなりません。おそらく100万ドル〜150万ドルを頂点とするプライベートクラブの分布、50万ドル〜75万ドルを頂点とする標準的なパブリックコースの分布、20万ドル〜30万ドルを頂点とする超低予算コースの分布に分けられると考えられます。 とすると、プライベートクラブの最頻値ゾーンを日本円に換算すると1.1億円〜1.65億円ということになるので、ここに挙げた4つのゴルフ場の予算と概ね合致する結果になりそうです。 為替レートが変わればまた事情が異なってくるのでなんとも言えませんが、現状では日米ほぼ同じようなコース管理予算規模であると言えそうです。 国内での比較 さて、せっかくなので国内の4コースについてもう少し詳しく見ていきましょう。 京葉の資材樹木管理費です。他のゴルフ場にはこの項目はありません。これは松くい虫防除のための費用や枯れ木の伐採、グリーンやフェアウェイのエアレーションで使う砂代などの費用で、京葉では独立した項目として計上しています。茨城県Oも松の多いコースなのでおそらく諸経費の中に同様の費用が含まれているものと思います。同様に神奈川県Sの肥料薬品費が少ないですが、諸経費に含まれている部分があるのでしょう。 減価償却費を計上しているゴルフ場とそうでないゴルフ場があります。京葉CCではコース管理に関するもの以外も含めて全ての有形固定資産の減価償却費を一括して計上しているのでここには現れません。実態としてはリース物件が多いので、他クラブで減価償却費に相当するものはリース料として諸経費に含まれていると考えていただいて構いません。 関東地方のゴルフ場のみをピックアップして比較しましたが、地域が異なると気候や土壌、物価水準などが大きく異なり適切な比較が難しくなると考え除外しました。同じ関東内であっても1年を通じて雨の多い箱根と真夏が酷暑となる埼玉熊谷周辺のゴルフ場を同じ土俵で較べることは妥当ではありませんし、管理に相当な費用がかかる松が多く分布しているゴルフ場とそうでないゴルフ場を管理総額のみで較べることは妥当ではないでしょう。ですからそれぞれ固有の条件があるので、前提条件に合わせて調整をして比較することが必要でしょう。 まとめ 安易な比較は戒めるべきものとはいえ、国境を超えてコース管理費がどこでもだいたい同じ水準でその中身の構造も似てくるという発見は非常に興味深いものであり、資本主義社会の面白いところだと思いました。

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R&A サステイナブルセミナー

先日横浜カントリークラブで行われたR&A主催のサステイナブルセミナーに参加してきました。 ゴルフにおけるサステイナビリティとは サステイナビリティ(持続可能性)とは現在と未来のバランスが取れているということです。現在選択した行動・行為が未来の行動・行為を制限してしまうようなことがないような賢い選択をすることがサステイナブルな社会といえるでしょう。よってそれは環境問題でもあり社会経済問題でもあると考えることができます。現在のゴルフにおけるなんらかの選択や行為が環境を破壊し、将来世代に今ある環境を残すことができなければ、今の世代が享受している環境へ将来世代がアクセスできなくなってしまいますし、社会経済的に見て人々から需要されなくなってしまえばゴルフというスポーツは消えてしまい、将来世代はゴルフをすることができなくなるし、現在ゴルフ産業に従事している人たちが職を失ってしまいます。ですから、自分自身のみならず、自分たちの子供たちの利益を考えて、いま行動を起こすことが求められていると私は考えます。 サステイナビリティを測定する サステイナビリティは漠然とした理念ではなく測定できなければ効果が明確にならず、よって正しく推進することができません。ISEALという組織は各分野でサステイナビリティを高める運動を行っている組織に認証を与えています。フェアトレード・インターナショナルやレインフォレスト・アライアンスなどもメンバーに名を連ねていますが、ゴルフの分野では今回のセミナーで紹介されたGEO (Golf Environment Organaization)という非営利団体があります。GEOはゴルフ場、ゴルフ場開発者、トーナメントの3分野にそれぞれの認証を与えています。R&Aも積極的に関与しており、全英オープンはGEOの認証を取得しています。ゴルフ場にはOnCourseというオンラインの無料アプリケーションにデータを入力するだけで現在のサステイナビリティが計測され、またOnCourseに登録した各ゴルフ場同士のコミュニケーションの場が与えられていて情報交換ができるようになっています。よくPDCA (Plan Do Check Action) が重要だと言われますが、一番難しいCheck (効果の計測) の部分がこうして外部の信頼できる機関によって提供されていることはゴルフの強みと言え、今回のセミナーに出席して大変心強く思いました。 社会や環境と調和するために 今回のセミナーでサステイナビリティを向上させる具体的なプランとしてコース改造とメンテナンスがテーマとして取り上げられました。 ゴルフ場開発・改造 様々なゴルフ雑誌がゴルフコースのランキングを発表していますが、多くの場合半数以上は戦前のコースがランクインしています。これらのコースは大型の重機のない時代に非常に安価に作られています。何が言いたいかというと、コースの造成費用の多寡とコースの良し悪しは関係ない、ということです。むしろ、おカネをかけて大地を創造したようなコースほどワンパターンで面白みにかけるものになりがちで、サステイナビリティの観点からは環境破壊的でありかつゴルフの楽しみを半減させるような行為と言えるでしょう。 今回のセミナーでもこの点は強調されていましたがより具体的な方法が提示されました。ゴルフ場開発の場合は(1)そもそもゴルフ場に適した土地(地形や土壌の質)を選ぶこと、(2)もとからある地形の変化が生きるルーティング(レイアウト)を取ること、(3)バンカーや池など造成やメンテナンスに費用のかかる要素を必要最小限に留めること、(4)ゴルフ場のスタッフを造成や改造に積極的に関与させること、(5)その土地の気候や土壌に適した芝種を選ぶこと、などが挙げられました。 これらの要素は互いに関係しあっていますが、例えば(2)や(3)と(4)は見逃されがちな点で、コースを造成・改造する業者は費用がかかる方が利益が上がるので放っておくとどんどん地形をいじったり、余計な土壌「改良」剤を入れようとします。しかし、造成後の管理を任されるコース管理責任者やおカネを払う側のゴルフ場のスタッフが積極的に関与していればこういった問題はかなり回避できます(実際、「コンサルタント」の意見のみが取り入れられ、現場の責任者の意見は全く聞き入れてもらえず結局メンテナンスに苦労するという嘆きの声をよーく耳にします)。 メンテナンス サステイナビリティに関連するメンテナンスに関しては日本のゴルフ場はかなり進んでいると思います。というのも、世界的に問題となっているの温暖化による水不足であり、日本のゴルフ場ではあまり多くの水を必要としないコーライ芝と野芝がゴルフ場のほとんどの面積を占めているからです。これは前節の(5)と関係しますが、気候・土壌に適した芝種を選べば環境への負荷が減ることの好例でしょう。アメリカでも南部地方では水を必要とする洋芝からコーライ芝への転換を検討あるいは実際に転換したゴルフ場は増えているようです。 メンテナンスをそもそも必要としないエリアを増やすことも環境負荷を下げる一つの方策です。これについては日本は遅れていると言えるでしょう。視野に入る全てのエリアがきれいに刈り取られていないといけないと考えているプレーヤーやスタッフがほとんどかと思いますが、これは「オーガスタ・シンドローム」だと思います。マスターズ・トーナメントが行われるオーガスタ・ナショナルは例外であって典型ではないと知るべきでしょう。多くの名コースではラフから少し外れると管理対象外の荒れ地となっていることの方が多いです(ただ、パインバレーのような「カネのかかった荒れ地」もあるのでやっかいです)。 今回会場となった横浜カントリークラブはパネリストとしても来場してたビル・クーア氏によって改造設計されました。改造後の横浜CCではラフの外側では草が伸ばしっぱなしの状態でしたが、むしろそれが景観に良い効果を与えていると思います。とはいえ、まったくボールが行かないわけでもないので論争のタネではあり頭の痛い問題です。

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新練習グリーン、未だ使えず

新しい練習グリーンですが、当初使用開始を予定していた7月頭から、だいぶズレこんでしまっていて大変申し訳ないです。思いの外、細かい不陸が多く、刈高を落とせない状態が続いています。 グリーンは最終的には4mm以下の刈高で刈りますが、細かい不陸があると狙った刈高よりもずっと短く刈れてしまうことがあります。例えば1、2mmの凹みが直径30cm程度あるだけで、その周囲の刈高はおそらく3mmを切ってしまいます。なので、そういった窪みを一つ一つ手で砂を入れてやって埋めていき高さ調整をする必要があります。しかし、夏は刈りこみ作業が一番忙しい時期ですし、ベントグリーンは暑さに弱いので手がかかります。限られた人員で手目砂をして調整していくには余裕がなく、時間がかかってしまっているのが現状です。 5mm近くまで刈高を落としてきましたが、部分的にかなり刈高が低くなり、はげてきている箇所が見られるので、刈高を上げざるを得ない状態です。既存の練習グリーンにも負担がかかるため、一日も早く新しいグリーンを仕上げたい気持ちでいっぱいですが、その他の作業もギリギリのところでやっていますので、もうしばらくお待ちください。

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新練習グリーン造成後経過

新たに増設した練習グリーンの緑が増してきました。4月前半は気温が低く心配もありましたが、その後は気温もグッと上がり順調です。予定通り7月には使いはじめることが出来そうです。場合によっては6月の終わり頃から使用を開始します。 2月28日造成中 3月17日播種した頃 5月22日現状

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新練習グリーン用の土壌サンプル分析結果詳細

ちょっとマニアックというか、同業者以外にはほとんど無意味な情報ですが、今つくっているグリーンに使う砂や土壌改良材の検査結果をここに報告したいと思います。 まずテストをしたラボですが、Tifton Physical Soil Testing Laboratoryという所です。USGAのサイトから認証をうけているラボを調べ、手順の説明のわかりやすさや価格などを総合的に検討してここに決めました。 テストの目的は今回使用する材料をどのように組み合わせればUSGAの基準を満たすか、ということです。砂、土壌改良材、砂利それぞれに個性があるので、それらの組み合わせによって結果が変化します。あるテストで基準を満たした砂と同名称(たとえばピートモス)の別の土壌改良材の組み合わせが基準を満たすかはテストしないと分からないのです。 USGAが推奨しているのは10cmの砂利層の上に30cmの混合層(通常は砂とピートモスのミックス)という構造なので、砂利、砂、ピートモスの3つの材料の組み合わせをテストします。傾向を見るために砂:ピートモスの比率を90:10、85:15、80:20でテストするのが標準ですが、検査する比率についてクライアントの要望次第です。今回われわれはピートモス以外に「プロファイル」という商品名の土壌改良材をテストしました。ピートモスが海藻から作られる有機物であるのに対し、プロファイルは無機物であるセラミックの一種で焼成し多孔質にしたものです。 この表はテストの主要結果をまとめたものです。テストは3つ、それぞれが3パターンをテストし傾向を探ります。ちなみに「多孔性」は土壌がどれくらいの空気を含めるかという空隙率を表しています。赤字で示したところはUSGA基準をみたさない項目です。 砂のみの検査結果をUSGAの推奨値と比較してみると、まず透水速度がかなり早いことと、土壌が水で飽和状態になったときの空隙率が低いことがわります。また、特に基準はないようですが、保水力も低いことが分かります。ピートモスなどの土壌改良材を混合するのはこのような欠点を改善するためです。 ピートモスの比率が上がると、透水速度が低下し、飽和時の空隙率が上り、保水性が高まることが分かります。プロファイルの場合は、透水速度が上昇し、乾燥時、飽和時双方の空隙率が上がり、保水性が高まっています。最後のピートモスとプロファイルを混合したのは、ピートモスを少しずつプロファイルで代替した場合にどのようなことが起きるのかを確認したかったためです。ピートモスの比率を一定にしているので、傾向はプロファイル単独の場合と同じ、かつより抑制されている感じですが、飽和時の空隙率と保水性は相乗効果があるのか、それぞれの単独使用よりも高まっています。 Tifton Physical Soil Testing Laboratoryが推奨した組み合わせは「砂80%+ピートモス20%」でした。「砂85%+ピートモス10%+プロファイル5%でも大丈夫だが、透水速度がやや早過ぎる」という指摘ももらいました。USGAの基準では毎時6インチ以上の速度があればよいとなっていますが、実際には早過ぎると乾燥しやすかったり、保肥力が低かったりして芝の生育が悪くなります。 日本のグリーンキーパーは梅雨の存在や高温多湿な気候を理由に透水速度が高いグリーンを好み傾向が非常に強いですが、僕のこれまでの実際の経験から言うと、その考え方は大変危険だと思います。透水速度が早過ぎる土壌は養分を蓄える力が弱く、いわゆる「地力」がない状態になりやすいです。また、乾燥しやすいことも芝への強いダメージの原因になります。グリーンキーパーが透水性に拘るのは、それまで与えられてきたグリーンの土壌があまりにも透水性が悪いからに他ならないのですが、行き過ぎ(高すぎる透水性)も問題だと思います。 プロファイルのような多孔質な無機物はスポンジのような働きをして保水力もありつつ潰れずに空隙率を維持するので透水も確保できるようです。時間が経つと様々な有機物が土壌中で分解されゴミとなって空隙率を下げ、透水性を低下させますが、こういった多孔質はその問題への改善策の一つになりえます。ただし、USGAも注意喚起しているようにこれらの無機物は似たようなものでも品質のばらつきが大きく、経年劣化し土壌中で崩れてむしろ空隙率を著しく低下させる要因になり得るので、その選択には十分注意が必要です。参考までにプロファイルは非常に硬く長期的にはピートモスよりも優れている、とのことです。これらの改良剤はピートモスに比べて価格もかなり割高になるので、コストパフォーマンスを考えて選びたいところです。 今回推奨された砂80%+ピートモス20%では保水性が低く心配だ、という複数のアメリカのグリーンキーパー(スーパーインテンデント)のアドバイスもあり、プロファイルを少し混ぜて保水性を高めることにしました。また、pHが低すぎるので炭酸カルシウムを混合して土壌が弱酸性になるように調整することにしました。 もう少し安定的に気温が高くなったところで種まきをします。

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練習グリーンの増設中

1番ホールと10番ホールのティインググランド付近にそれぞれ380㎡程度の練習グリーンを増設中です。 既存の練習グリーンは2面ありますが、一つは経年劣化による排水不良を起こしていて、もう一つは逆に土壌に使った砂が粗すぎて過剰排水で管理に非常に苦労をしています。排水不良している方をAグリーン、過剰排水の方をBグリーンと便宜上呼ぶことにすると、Aグリーンで使われている砂はもともと角張っていて締まりやすいものなうえに、これまでの管理で使用した薬剤や肥料による化学変化や残留物によって排水が悪化しました。Bグリーンは9年前にコーライグリーンをグリーン床からやりなおしてベント化したものですが、使用した砂や造成方法に問題があり、過剰に排水されている状態にあります。 9年前にBグリーンと6番ホールのグリーンを作りなおしましたが、当時の僕はグリーン造成の知識がなかったので、キーパー任せにしたところ、今から考えると非常に問題のある構造および材質を使ったグリーンを作ってしまいました。新しいにも関わらず、毎年6番ホールと練習グリーンBには苦労させられています。 これらのグリーンの不具合は造成してすぐから出始めていたので、グリーンの構造について遅まきながら勉強しました。いくつかのメジャーな造成方法があるなかで、USGAのグリーンセクションが推奨する方法が最も普及しているらしいことがわかってきました。その後、キーパーが変わりましたが、新しいキーパーはグリーンの構造に詳しく、USGA方式のグリーンを実際に作った経験のある人でした。京葉CCでもショートゲーム練習場のグリーンをUSGA方式で作りました。このグリーンはその後の猛暑にもビクともせず、冬の寒さにも問題がありません。グリーンの健康状態は根を見ればわかりますが、1年を通じてかなり深く(20cm以上)根を下ろしています。京葉の他のグリーンだと真夏などは3cm程度までになってしまうので、その差は歴然としています。もちろん、使用状態が異なるので一概に比較することはできないので注意が必要です。 以上のような経過から、今回の練習グリーンもUSGA方式で作ることにしました。グリーンの土壌は深さ40cmあります。下の10cmは砂利層です。上の30cmは砂と土壌改良材の混合層になります。土壌改良材には通常ピートモスという有機物を使いますが、最近では様々な無機物も使われるようになっているようです。今回はプロファイルという商品名の無機物も検討しました。 USGA方式のグリーンを作るには、まず材料(砂利、砂、改良剤)がその要件に適合しているかをUSGA認証ラボで検査しなければなりません。その結果、砂80%、ピートモス20%が望ましいことがわかりました。砂利は残念ながらテストをパスしなかったため、別の砂利を再テストしなければならなくなりました。こうした検査は送られてきた資材ごとに必要で、別のロットで大丈夫だったから、昔検査したから今回も大丈夫ということにはならず、また、それぞれの相性もあるので面倒は面倒です。 工事は天気にもよりますが、来週中か、遅くとも再来週の前半には終わる予定です。その後、暖かくなるのを待って(3月終わり頃)グリーンの種を蒔きます。品種は現在グリーンに使用しているタイイです。タイイよりも新しい品種がいくつも開発されていますが、京葉での使用実績やターフクオリティには満足しているので、未知の品種を試すリスクを負う必要は感じませんでした。 使用開始は7月1日を予定しています。使い始めはどうしてもスピードは出ないのでなかなか満足できるベルにはなりませんが、最終的には良いものになると思います。2面増えることにより、既存の練習グリーンへの負担も軽減されることを期待していますが、いかんせん土壌がかなり悪い状態にあるのでどうなるかわかりません。場合によっては新グリーンが安定した段階でこちらも土壌からやり直します。 【2014年3月13日追記】 別の砂利をラボに送って検査したところ、今回は無事パスしました。晴れて今回使った砂利、砂、ピートモスの組み合わせはUSGAの推奨に適合していることになりました。

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ゴルフコースと樹木

数年前に関東ゴルフ連盟(KGA)のグリーン委員を拝命しました。そこでお知らせですが、1月29日にKGAグリーン委員会主催のグリーン研究講習会があります。テーマは樹木管理です。委員会としてぜひ参加して欲しいのは各クラブのグリーン委員の方です。今回はコース内の樹木の健康がテーマになるそうです。逆説的ですが、樹木の健康のために伐採しましょう、ということです。 京葉CCでも15年位前でしょうか、大規模な間伐を行いましたが、当時すでに開場40年ぐらいたっており遅きに失した感があります。松同士の間隔が狭いため、日照を求めて上へ上へと細く高く伸びた松が多くなってしまいました。樹形が悪い松ばかりになってしまい残念です。それでもその時から15年ほどたち、松もだいぶ太く立派になりました。 間伐したことで林からボールを出しやすくなったのはけしからん、とお叱りを受けることも多いのですが、間伐の意義は大きいのです。(1)枝と枝がぶつからなくなり樹形が良くなり、(2)グリーンやフェアウェイへの日当たりが良くなり、(3)風通しが良くなります。特にグリーンとティー周辺の樹木は悪影響が大きいです。特定のグリーンやティーの状態が悪い時はまず日陰を作ったり、風通しを悪くしている周囲の樹木や地形がないかをチェックしましょう。 芝草の管理は日照、風通し、土壌、踏圧、芝種、気候といった所与の条件を元に考えざるを得ませんが、これらの条件を少しでも緩和してあげられれば、コースの状態をより少ない費用で改善することが出来ます。ところが、一般的なゴルファーはこのような関係を知らないので、樹木も芝も両方大切にしたがります。これは非常に難題です。自然の力にはなかなか勝てません。グリーンの中に冷暖房を入れたり、排水管を利用して空気を吸ったりできるようにしているコースもありますが、莫大な費用がかかる上に、木を数本切るよりも効果は低いのが普通です。 いまはどこのコースも財政に大きな余裕はないはずなので、会員とコース管理は互いに協力し、理解しあって限られた費用をうまく使ってコースを良くしなければなりません。松の木一本育てるのに20年、30年かかるんだ、という意見はよくわかります。その場合、その大切な樹木を守り、同時に芝の状態も良くするにはいくら必要なのか、ということを考えなければなりません。 樹木を守る場合に最初に考えられるのは剪定や枝打ちです。これは他の方法に比べればまだ安上がりな上に効果もあります(それでも高いです!)。ただ、コース全体のなかで一部だけ剪定されていると不自然に見えるので見栄えはよくありません。剪定もしないであるがままの姿で残すとなると、先ほど挙げた条件のうち、日照と風通しは我慢しなければなりませんから、あとは土壌の改善、踏圧の減少、芝種の変更などが考えられます。 グリーンを土壌から作り替える場合、だいたい1平米あたり1万円から2万円ぐらいかかると思います。500平米のグリーンなら500万円から1000万円かかるというわけです。自社で作るか、外部に委託するかで値段は変わります。もっと安く済ますにはグリーンに深く大きめの穴を開けて別の土壌を入れる方法がありますが、全体の面積の数%しか変えることは出来ないので、効果は限定的です。 あまり普段ゴルファーには意識されないことかもしれませんが、ゴルファーが歩くことで生じる踏圧も芝草への大きなダメージを与えています。ダメージが集中している場合はそれを分散させるような対策が必要ですが、そうでない場合にはグリーンやティー自体が小さい可能性が高いですので、大きくする改造工事が必要です。来場者数を減らすことも対策になりますが、これでは本末転倒です。 グリーンに関しては芝種の変更も状態改善には有効で、しかも費用は比較的少なくすみます。グリーンに使われる芝は毎年幾つもの新品種が出るほど競争的な市場があります。昔であれば耐えられなかった暑さや寒さ、踏圧にも耐えられるようになってきています。 芝草のある一定のレベルへの状態改善のためのコストは樹木伐採の場合は小さく、残す場合は大きくなりますから、樹木を残すことのメリットがそれなりに大きくなければ樹木を伐採したほうがよい、という判断になるでしょう。実際のところ、グリーンやティー周りの樹木を伐採することで得られる芝草の品質の向上は、それ以外の方法ではまず得られないので、樹木を残すことを選択した場合のコストは無限大と言えます(あるいは芝草の状態の悪さを受け入れるしかありません)。 京葉CCを例に取ると、16番ホールのチャンピオンティーはどうやっても生育状態が悪く長年悩まされてきましたが、背後のこんもりとした小さな樹木を数本切ったところ、劇的に状態は改善されました。以前は毎年張替えが必要だったのですが、今ではその必要はなくなりました。 逆に樹木以外の要因で生育状態が悪いのが練習グリーンです。面積が小さいため踏圧によるダメージと、土壌不良が主な理由と考えています。土壌に関しては小手先の方法で改善できるレベルの悪さではないので、どこかで根本的な解決が必要ですが、当面はグリーンの拡大や芝種の変更で対応しようと考えています。 このように、私達は予算も含め、与えられた条件のなかでいかにコースを良くするかを考えて仕事をしています。

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USGAからグリーン委員のためのガイドブック

9月号のゴルフマネジメントにUAGAのグリーンセクションが発行している“A Guide for Green Committee Members”の(前半の)翻訳が掲載されています(後半は次号)。書店に並ぶような雑誌ではないので、日本語版を誰かが正式につくって配布していただけると嬉しいです。 これは殆ど関係ないですが、グリーン委員会の「グリーン」をパットをする場所としての「グリーン」と思われている人もいるかと思いますが、この場合には単にコースそのものを指しています。そういう意味で「コース委員会」と命名しているクラブが日本に多いのも頷けます。 グリーン委員会の役割にはコース管理の予算を決めること、予算に対して適切な管理が行われているかを監視すること、コースの長期的な管理目標を設定すること、メンバーのコース管理に対する疑問、質問に応えることなどが挙げられ、非常に広範囲にわたります。ただ、日本では実際には委員会ではなく運営会社がこの役割を代行しているケースが殆どだと思います。

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バンカーの砂質について

バンカーの良し悪しは主観的なものなんだってことをよく覚えておこう。 —USGA Green Section ゴルフの歴史を学び、またスコットランドのリンクスでプレーしてみてバンカーの砂質はどうあるべきかについて大いに考えさせられた。 USGAのグリーンセクションはバンカー砂についてのガイドラインを1983年に発表しているが、基本的には具体的な指定はしていない。 The USGA has never had specifications for bunker sands. The article “Selecting and Handling Sand,” Green Section Record , November/December 1983, provides general guidelines regarding the sand’s particle size, shape, composition, color, and other … Continue reading

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