Monthly Archives: 5月 2010

月刊チョイス185号の付録でのUSGAグリーンの解説は間違い

月刊チョイス185号に「ラインが見える!グリーンのすべて」という付録がついていて、グリーンの構造について解説が付されている。クレジットを見るとコース設計家の倉上俊治氏と佐藤謙太郎氏が解説として記載されているが、内容はキチンと確認されたのであろうか。USGAグリーンの記述に関してとんでもない間違いがある。以下にその内容を引用する(強調は筆者)。 現在、日本で最もポピュラーなグリーンの構造はUSGA方式のサンド構造で、ベント芝の育成に適した保水性と透水性の基準を満たすよう、地域やコースによって微妙なアレンジが加えられている。 地下は大きく3層に分かれている。芝面に最も近い約15センチは、細かい砂をベースにした土壌改良の層で、肥料と改良材がミックスされている。その下の約15センチは、丸い小粒の砂の層があり、ここが主に透水性をコントロールする。さらにその下、約10センチはさやえんどう大の玉砂利を敷き詰め、排水と冷却の役割を担させている。 その下の土壌に埋設された、直径10センチの排水用の管を「肋骨(魚骨)排水」と呼ばれる形状に配し、雨水や散水を中心の管に集めて流す構造になっている。 雨の多い日本では、高い排水能力が求められるのは当然だが、一方で肥料まで一気に流してしまうわけにはいかない。四季や地域に応じた透水速度を保つことが、日本では重要となる。 —月刊チョイス185号付録「ラインが見える!グリーンのすべて」 このような書き方をすれば、ここで説明されているグリーン構造はUSGAの推奨する方法であると読み手は思うであろう。注意深く読めば、「これがUSGAグリーンです」とは書いていないが、そう言い逃れるのであれば、それは詐欺に近い。 以前のポストでも日本のゴルフ界にはびこるこの問題について書いたが、日本のコース設計者およびゼネコンのほとんどが、この方法がUSGA方式であると信じて疑っていないらしい。しかし、それはゴルフコース経営者の立場やコストを負担するプレーヤーの立場からすれば、不適切な構造のグリーンを押し付けられて余計なコストを負担することになるわけだから、黙ってはおけない。 真のUSGAグリーン このグリーン構造がUSGA方式であるならば、出典を明らかにしてもらいたい。どのような資料に依拠してこれをUSGA方式と呼んでいるのだろうか、まことに不思議である。インターネット普及以前であれば、USGAが公式に発表している資料にアクセスできる人は限られていたであろうが、現在ではネットにアクセスさえできれば世界中どこからでもUSGAの公式の情報を得ることができる。以下はUSGAが推奨するグリーン造成方法 “Recommendations for a method of putting green construction” の混合層に混ぜる無機物に関する注意点からの引用である(強調は筆者)。 Inorganic and Other Amendments: Porous inorganic amendments such as calcined clays (porous ceramics), calcined diatomites, and zeolites may be used in … Continue reading

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グリーンの理想的状態

良いグリーンの状態とは硬くてボールの転がりの良い状態だと現時点では考えている。スピードはそれほど重要ではない。むしろスピードは速すぎない方が良い。というのも、速すぎるグリーンは傾斜が強いグリーンではホールをあける場所がなくなってしまうし、ホールの場所を確保しようとすると、平らなグリーンになってしまうか、傾斜があってもグリーン内に止まるだけの平らな面を確保するために極端に大きなグリーンになってしまうからだ。 速くて傾斜が強いところにホールをあけなければならなくなると、グリーン上で大叩きをしやすくなり、グリーンに至るまでのゲームを壊してしまう。速いだけの平らなグリーンは面白みに欠ける。大きすぎるグリーンはパター以外のクラブが必要となりうるから管理上問題になる。 これに対し、グリーンの硬さを上げることで戦略性を高めることができる。どの角度から狙ってもボールが止まるほど柔らかいグリーンの場合、フェアウェイのどこにあってもそれほど条件は変わらないが、硬くなると、グリーンのどの面に落とすかが重要になってくるため、その面に対しどの角度から狙っていくかでフェアウェイへのボールの置き所が変わってくる。また、上げるボールだけでなく、転がすアプローチも重要になってくるのである。 転がりの良いグリーンとは、ボールがヨロヨロしないで転がるグリーンである。デリケートなタッチを要求される時に、ホール際でボールがだらしなくよれて外れることほど頭に来ることはない。ラインに乗ったら素直にホールに吸い込まれるべきである。あくまでゴルフは「遊び」なのだから。 このように定性的に良いグリーンの定義をすると、今度は定量的な良いグリーンを定義することが出来る。グリーンの硬さと転がりの良さは芝の密度および刈高と比例する。密度が高ければ高いほど根の密度も充実し、グリーンは硬くなるし、グリーンの表面が芝で覆われるため転がりが良くなる。また、刈高が低いほど芝が立ってくるし、葉も細くなるので、均一な転がりが実現する。そしてまた、密度の高い芝生は光合成や蒸散などが健全に行われるため、様々なストレスにも強い。このようなことから、定量的な良いグリーンとは基本的には密度と刈高に要約できるのである。 これを実現するためにはマメな目砂、頻繁な刈り込み、良い肥料、適切な水管理、よくメンテされた高性能な機械、細かい配慮ができるスタッフが必要なのである。それらを限られた予算で一度に解決するのがグリーンキーパーのグリーンに対する責任なのである。

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