Monthly Archives: 12月 2013

ゴルフコースと樹木

数年前に関東ゴルフ連盟(KGA)のグリーン委員を拝命しました。そこでお知らせですが、1月29日にKGAグリーン委員会主催のグリーン研究講習会があります。テーマは樹木管理です。委員会としてぜひ参加して欲しいのは各クラブのグリーン委員の方です。今回はコース内の樹木の健康がテーマになるそうです。逆説的ですが、樹木の健康のために伐採しましょう、ということです。 京葉CCでも15年位前でしょうか、大規模な間伐を行いましたが、当時すでに開場40年ぐらいたっており遅きに失した感があります。松同士の間隔が狭いため、日照を求めて上へ上へと細く高く伸びた松が多くなってしまいました。樹形が悪い松ばかりになってしまい残念です。それでもその時から15年ほどたち、松もだいぶ太く立派になりました。 間伐したことで林からボールを出しやすくなったのはけしからん、とお叱りを受けることも多いのですが、間伐の意義は大きいのです。(1)枝と枝がぶつからなくなり樹形が良くなり、(2)グリーンやフェアウェイへの日当たりが良くなり、(3)風通しが良くなります。特にグリーンとティー周辺の樹木は悪影響が大きいです。特定のグリーンやティーの状態が悪い時はまず日陰を作ったり、風通しを悪くしている周囲の樹木や地形がないかをチェックしましょう。 芝草の管理は日照、風通し、土壌、踏圧、芝種、気候といった所与の条件を元に考えざるを得ませんが、これらの条件を少しでも緩和してあげられれば、コースの状態をより少ない費用で改善することが出来ます。ところが、一般的なゴルファーはこのような関係を知らないので、樹木も芝も両方大切にしたがります。これは非常に難題です。自然の力にはなかなか勝てません。グリーンの中に冷暖房を入れたり、排水管を利用して空気を吸ったりできるようにしているコースもありますが、莫大な費用がかかる上に、木を数本切るよりも効果は低いのが普通です。 いまはどこのコースも財政に大きな余裕はないはずなので、会員とコース管理は互いに協力し、理解しあって限られた費用をうまく使ってコースを良くしなければなりません。松の木一本育てるのに20年、30年かかるんだ、という意見はよくわかります。その場合、その大切な樹木を守り、同時に芝の状態も良くするにはいくら必要なのか、ということを考えなければなりません。 樹木を守る場合に最初に考えられるのは剪定や枝打ちです。これは他の方法に比べればまだ安上がりな上に効果もあります(それでも高いです!)。ただ、コース全体のなかで一部だけ剪定されていると不自然に見えるので見栄えはよくありません。剪定もしないであるがままの姿で残すとなると、先ほど挙げた条件のうち、日照と風通しは我慢しなければなりませんから、あとは土壌の改善、踏圧の減少、芝種の変更などが考えられます。 グリーンを土壌から作り替える場合、だいたい1平米あたり1万円から2万円ぐらいかかると思います。500平米のグリーンなら500万円から1000万円かかるというわけです。自社で作るか、外部に委託するかで値段は変わります。もっと安く済ますにはグリーンに深く大きめの穴を開けて別の土壌を入れる方法がありますが、全体の面積の数%しか変えることは出来ないので、効果は限定的です。 あまり普段ゴルファーには意識されないことかもしれませんが、ゴルファーが歩くことで生じる踏圧も芝草への大きなダメージを与えています。ダメージが集中している場合はそれを分散させるような対策が必要ですが、そうでない場合にはグリーンやティー自体が小さい可能性が高いですので、大きくする改造工事が必要です。来場者数を減らすことも対策になりますが、これでは本末転倒です。 グリーンに関しては芝種の変更も状態改善には有効で、しかも費用は比較的少なくすみます。グリーンに使われる芝は毎年幾つもの新品種が出るほど競争的な市場があります。昔であれば耐えられなかった暑さや寒さ、踏圧にも耐えられるようになってきています。 芝草のある一定のレベルへの状態改善のためのコストは樹木伐採の場合は小さく、残す場合は大きくなりますから、樹木を残すことのメリットがそれなりに大きくなければ樹木を伐採したほうがよい、という判断になるでしょう。実際のところ、グリーンやティー周りの樹木を伐採することで得られる芝草の品質の向上は、それ以外の方法ではまず得られないので、樹木を残すことを選択した場合のコストは無限大と言えます(あるいは芝草の状態の悪さを受け入れるしかありません)。 京葉CCを例に取ると、16番ホールのチャンピオンティーはどうやっても生育状態が悪く長年悩まされてきましたが、背後のこんもりとした小さな樹木を数本切ったところ、劇的に状態は改善されました。以前は毎年張替えが必要だったのですが、今ではその必要はなくなりました。 逆に樹木以外の要因で生育状態が悪いのが練習グリーンです。面積が小さいため踏圧によるダメージと、土壌不良が主な理由と考えています。土壌に関しては小手先の方法で改善できるレベルの悪さではないので、どこかで根本的な解決が必要ですが、当面はグリーンの拡大や芝種の変更で対応しようと考えています。 このように、私達は予算も含め、与えられた条件のなかでいかにコースを良くするかを考えて仕事をしています。

Posted in Turf Management | Tagged | コメントは受け付けていません。