Monthly Archives: 1月 2014

ゴルフにおけるフェアネス

ゴルファーはフェアネスを非常に気にする傾向がありますが、僕はこれはかなりどうでもいいことだと思っています。 設計のフェアネス・状態のフェアネス 「フェアである」とは「各プレーヤーが同じ条件でプレーできること」と定義すれば多くの人に同意してもらえるでしょうか。 このように定義した場合、コースの設計はどのプレーヤーにとっても同じなので、常に「設計はフェアである」となります。しかし、どのコースにも有利不利はあり、例えばオーガスタは昔からドローヒッター有利とされています。それではこれをもってオーガスタはフェアではない、フェードヒッターにも同程度有利になるように改造すべきだ、となるでしょうか。 すべてのコースはロングヒッターに有利にできています。ロングヒッターはいつでも短いクラブを使うことでショートヒッターになれるからです。だからこそゴルファーは飛距離アップに血道を上げるわけです。では距離の長いコースはアンフェアなのでしょうか。 今度は林間コースでのドッグレッグを考えてみましょう。ロングヒッターはグリーンを狙えるところまで飛ばせるが、ショートヒッターはそこまで飛ばず、林が邪魔で3打目勝負を余儀なくされるようなホールです。これはフェアでしょうか、アンフェアでしょうか。 ときどきバンカーの先に木が植えられているようなホールを見かけます。グリーンを狙う方向にボールを打つことが不可能なケースです。ダブルハザード(和製英語かと思いますが)とも呼ばれますが、これをアンフェアという人がいますが、どうでしょうか。上述の定義に照らせばアンフェアではないですよね。 このように考えると、コース設計由来のフェア・アンフェア問題は存在しないといえると僕は思います。単につまらないコースという烙印を押されるだけでしょう(よほどのマゾではない限り)。 では、コースの状態についてはどうでしょうか。マッチプレーであればほぼ同じ時刻にプレーするのであまり状態の変化はないのでフェアな状態を保てていると言えると思いますが、ストロークプレーの場合、スタート時間によって大きな差が出ることが普通です。 午前中は風が吹いていたのに午後は吹かなかったり、午後になったら雨が降り始めたりします。また、芝は一日のうちに伸びてくるので芝種によっては午後になると顕著に転がりが悪くなったりもします。最終組は多くのプレーヤーに踏まれ、凸凹になったグリーンでプレーします。しかし、これらは人智の及ばぬ自然の摂理の領域で、これをアンフェアだとするのは理不尽だと思います。 バンカーの砂質についても「フェアではない」とよく苦情が出ます。砂が柔らかければ目玉になりやすいと苦情が出ますし、硬ければクラブが跳ねると苦情が出ますが、結局は自分が打ちやすい状態を求めているだけなのだと思います。 ようするに何がいいたいかというと、フェアネスの概念を持ちだして自分のプレーを正当化するのは筋が悪い、ということです。そこが裸地であろうと、舗装された道路であろうと何であろうとあるがままにプレーするのがゴルフの基本です。ルールがそのような状況からの救済を許しているのは単に安全性の確保のためとゴルフのゲームとしての面白さを損ねないためだと思います。フェアネスとは何の関係もないと思います。 フェアネスではなく面白さを基準に 僕は上記すべてのケースにおいてフェアネスではなく、それぞれのプレーヤーが面白いと感じるかどうかを基準に考えればスッキリすると思っています。例えば、先ほど挙げた林間コースのドッグレッグの例を使うと、ドッグレッグを林ではなくバンカー群で実現すれば、ショートヒッターにもバンカーを迂回するルートとバンカー越えを狙うリスクを取ったルートという選択肢が実現し、面白さが増すといえるのではないでしょうか。このような発想の転換はフェアネスに立脚していてはできないと思います。ショートヒッターがロングヒッターに対して不利なことは変わっていないからです。 どうやら多くのゴルファーは「ゴルフコースはこうあるべき」というあるべき姿のイメージを持っているようです。しかし、僭越ながら僕は全く逆の考え方を持っていて「ゴルフコースはこうあるべきという姿は存在しない」と思っています。 マスターズは全世界的に見ても唯一毎年同じコースで開催されるメジャートーナメントだと思いますが、その会場であるオーガスタの美しい映像は日本人のみならず世界中のゴルファーを魅了しています。しかし、オーガスタはひとつの頂点ではあるものの、他にもまったく異なる方向性の頂点に立つコースが数多くあります。単にランキングという意味で言えば、はるかに格上と言えるパインバレーはオーガスタとは全く性格の異なるコースですし、セントアンドリュースもそれら二者とも違います。むしろ違うからこそ面白いわけです。 しつこいですが、バンカーの砂質についてもう一度考えてみましょう。日本ではバンカー用の砂はバンカー用の砂として流通しています。この砂を使うと目玉になりにくいし、本当に気持ちよくバンカーから球が出ます。スピンが掛かって止まります。プレーヤーの気持ちを考えたおもてなしの心を持ったバンカーになります。おそらくアメリカでも似たような状況だと思います。どこにいっても真っ白い砂で非常に打ちやすいです。この状況をトム・ファジオは「オーガスタシンドローム」と呼んでいます。オーガスタこそがあるべき姿であるとの誤解がアメリカでも蔓延していることを揶揄した表現です。 本来のゴルフは自然との戦いだと思います。リンクス(スコットランドの言葉で「砂丘」の意味)ではその名の通り砂丘の上にコースがあるので、穴を掘れば砂が出てきてバンカーになります。「バンカー用の砂」なんてものは存在しません。なので、その土地によってバンカーの砂質は異なります。セントアンドリュースのバンカーの砂などはサラッサラの極端に難しい砂質で、日本で使ったら苦情が止まらないと思いますが、セントアンドリュースでバンカー砂の文句を言っている人がいたら相当滑稽に見えますよね。 こんなこともありました。ある日本人の設計者の方が京葉を訪れて「ここはフェアウェイが少し張っていて、フェアウェイにティーショットが落ちてもヘタするとラフにまで散らばってしまうし、どこへ行くかわからないからフェアではない」と指摘されました。同時に「フェアウェイを少し削ってラフを盛り上げるべきだ、そうすれば、ボールはフェアウェイに集まってくる」とも。なるほど日本には凹型になったフェアウェイが多いのはこの考え方が設計者の間で一般的だからなんだなと納得しました。ここでもおもてなしの心が発揮されていて、なるほどと妙に感心した記憶があります。たしかに良いスコアが出ると面白いのですが、みんながみんな、このタイプの「面白さ」を求めているとしたら、なんだかガッカリですね。

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ドークスケール —The Doak Scale—

トム・ドークはこれまで何冊かのほんを書いていますが、そのうち”The Anatomy of A Golf Course”と”The Confidential Guide to Golf Courses”は有名で、前者はアメリカの大学で教科書に採用されている古典となっているそうです。後者は自ら設計者であるにもかかわらず約800の世界中のゴルフコースを忌憚なく評価し、物議をかもしました。 この本はいわばゴルフ版のミシュランガイドです。旅をする友人のためにどのコースに行くべきで、どのコースは避けるべきかを知らせるために書いたものがベースになっています。その評価の基準を以下でご紹介しましょう。 これは1996年に書かれた本ですが、ドークは93年に日本に来ていてカレドニアン、ゴールデンバレー、東広野、廣野、北海道クラシック、北海道ゴルフ倶楽部、霞ヶ関、川奈、神戸、武蔵、名古屋、鳴尾、小樽、パインレーク、太平洋御殿場、東京、富里がリストアップされています。これらのコースについての評価は怖くてここでは書けないので、興味のある人は僕に連絡を(廣野、川奈が8、東京、鳴尾、霞ヶ関東が7です)。京葉の評価は怖くて聞けませんでしたが、右腕のブライアンに聞いたところ「おそらく2か3だろう」ということでした。 0 – あなたの精神を害するほどわざとらしく不自然なコースで、いかなる状況においてもお薦めしない。造成のためにバカバカしいほど多くの資金を無駄にしたコースで、そもそも最初から造られるべきではなかった。 1 – とりあえずゴルフコースの形をしているコース。設計上明らかな誤りがあるか、メンテの状態が悪いか、そのどちらかかあるいは両方。どれだけゴルフに飢えていても避けるべき。 2 – 設計上の面白みはないが、かといってヒドイところもない平凡なコース。私の友人のデーブ・リチャーズ曰く「ダーッとプレーして、ガーッとビールを飲むためのコース」。 3 – 世界的に見て概ね平均的なコース(ただし、私は「平均的なコース」を見るために旅をするわけではないので、必然的に私のスケールは「良い」「すごい」「最高」に偏っている)。 4 – まぁまぁ面白いコース。18ホール中何ホールか際立っているか、少なくとも風光明媚であったり楽しいゴルフができる。また非常に良いコースであるものの、優れたゴルファーにとって十分なチャレンジを与えるには短すぎたり狭すぎたりするようなコースもこの範疇に入る。 5 – 平均よりずっと良いコース。しかし、私のスケールの中ではちょうど真ん中。近くにいてゴルフがしたくなった時にちょうどよいコースであるが、アラスカにでも住んでいない限りわざわざ一日かけて訪れるほどの価値はない。 6 – 非常に良いコース。そのコースのある町に居合わせたなら間違いなくプレーする価値がある。しかしわざわざ旅してまで見に行く価値があるかは微妙である。ガッカリさせることはないであろう。 7 – 素晴らしいコース。コースから100マイル以内にいるなら見に行くべき。きっちりしたデザイン、面白いホール、よい状態、快適さを楽しめるだろう。しかし、ゴルフの世界に何か特別なものを与えているようなレベルとは必ずしも言えない。 8 – その地域で最も優れたコースの一つ(ある地域では多くのスケール8のコースが散在する一方で、全く存在しない地域もあるが)で、特別に旅を仕立てる価値がある。いくつか欠点はあり、簡単に書きだすことができるかもしれないが、全体として素晴らしいレイアウトに加え本当に特別な面白さによって打ち消されるだろう。 … Continue reading

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Mr. Tom Doak and the “Classics” その2

前回からの続きです。 ラフプランを受け取ったあと、我々は川奈へと向かいました。僕にとってはこの時が初めての川奈でしたが、トム・ドークはそれ以前にも(おそらく複数回)プレーしてます。川奈へ行くことになった理由はよくわからないのですが、コーディネートしてくれたマサ・ニシジマ氏がこのようなプランを組んでくれたのでした。 結論から言うと、トム・ドークと川奈を一緒にプレーしながら、それも泊まりでゴルフをするというのは至福の経験となりました。川奈ホテルのバーで僕とトム・ドーク、ブライアン、ニシジマ氏、眞利子氏の5人での語らいは何にも代えがたいものとなるでしょう。 ゴルファーなら誰でも自分の思うゴルフコースランキングがあるはずですが、このランキングは時と共に変わります。コースが改造されたり、新しいコースが加わったり、自分の考え方が変わったり。ドークはあちこちでドーク自身のランキングを聞かれているのですが、僕もその時点での彼のランキングが知りたくて僕も彼の現時点でのトップ12は何かを尋ねました。答えはもはや正確には覚えてないですが、パインバレー、セントアンドリュース、シネコックヒル、ナショナルゴルフリンクス、パインハーストNo.2、ミュアフィールド、サイプレスポイント、サンフランシスコ、サンドヒル、ロイヤルカウンティーダウン、ロイヤルメルボルン、メリオンあたりだったように思います。彼は順位をつけるのは好まないので、今挙げた順序は順位を表すものではありません。念の為。 僕にとってむしろ印象的だったのはランクインしなかったコースのほうでした。オーガスタナショナル、オークモント、ペブルビーチ、ウィングドフットなどは彼の好みではないようでした。 ちなみに、ドークは川奈が評価とは別に(といっても高く評価してますが)とても好きらしく、富士コースだけでなく大島コースもカートに乗って興奮して走りまわって見ていました。「こんなにダイナミックなコースはなかなかないよ!」と語っていて、一般的には評価が低い大島コースなだけに僕は興味深く聞いていました。川奈はアップダウンが結構きついので敬遠する人も多いですが、1番と5番の打ち下ろし以外は極端な高低差はないし、自然の地形を活かしたレイアウトは見事だと思いました。僕は特に7番ホールは見事なショートパー4で大好きです。 ドークの川奈への評価も聞きました。コーライグリーンはベントに変えるべきだし、16番ホールの有名なパー3の砲台グリーンはもっと下げたほうが良いだろうと言っていました。レイアウト(ルーティング)については満足しているようでした。そして、「もし川奈のリノベーションの依頼があったら引き受けるか?」という僕の問いに、しばらく沈黙して考え込んだ後「yes」と答えました。リーマン・ショック前の当時、彼のもとには毎月2件以上の新規設計依頼があったらしいですが、そういう状況も考慮した上での真剣な返答だったように思います。 ドークは有名設計家の中では圧倒的に来日回数の多い人だと思いますが、コース設計の歴史についてもかなりのオタクで、アリソンの設計思想や日本での活動にも非常に詳しい人です。世界中を旅して設計して回ったアリソンやマッケンジーに自分をなぞらえているようでもありました(奇しくもふたりともコルトのパートナーでしたね)。 そんなわけで、彼の考える川奈のリノベーションは彼のコースにすることではなく、アリソンの思想を蘇らせるものであることは間違いないでしょう。そういうコースのレストアもこれまで数多く請け負ってきた実績もあります。クリスタルダウンズなどはマッケンジーの設計ですが彼のレストアによって見事に蘇ったそうです。ドークのホームコースでもあります。 コルトやマッケンジーが活躍した1920年代前後はゴルフにおいてもゴールデン・エイジで現在ではその頃に設計されたコースをクラシックコースと呼びます。ドークはこのクラシックコースの設計思想を現代に蘇らせることを目標にしていることは、彼の会社の名前がルネッサンス・ゴルフであることからもよく分かります。(つづく)

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Mr. Tom Doak and the “Classics”

タイトルはJohn Hicksの ”Mr. Keynes and the ‘Classics’” からのパクリです。どうでもいいですね。はい。内容とは関係ありません(多分)。トム・ドークに設計を依頼するまでの経緯や、その後トム・ドークと交流を深める中で知った彼の考え方を備忘録として残しておくと同時に、多くの人と共有したいと思います。 きっかけはツーグリーンをいつかゴルフ本来の姿であるワングリーンにしたい、という先代の社長の思いにあります。その頃の僕はまだ若く、ゴルフが出来ればなんでもいい、ぐらいの認識だったので「へぇ、そういうもんか」という程度に受け止めていました。また僕の叔父は「いいコースは設計家で決まるんだ」と言っていて、それも「へぇ、そういうもんか」と思っていましたが、この二つのことは頭にこびりついて離れませんでした。 2005年に京葉初のプロトーナメントを開催することになり、その勉強としてアメリカのトーナメントを見学に行きました。この機会を利用してパインハーストNo.2をプレーしてきました。このコースは以前に広告で知っていてなんとなく記憶に残っていたので調べてみたらアメリカでもトップ10に入る名コースで、しかも同年に全米オープンを開催することを知り、是非行ってみたいと思ったのです。 実際にパインハーストをプレーしてみると、今までやってきたコースは一体何だったのか、と彼我の差のあまりの大きさにただただ驚くばかりでした。この衝撃の体験から、こういったものを作れるのは外国人の設計家しかいないと思うようになりました。外国人が日本庭園をいくら上手く作ってみても日本人が作るものには敵わないように、ゴルフコースは日本人では勝てないと思います。 調べてみると、当時一番有名だったのはトム・ファジオでした。実際パインハーストNo.8は彼の設計で、とても美しいコースで、No.4は改造、No.6は叔父で有名な設計家であったジョージ・ファジオとの共同設計でした。更に調べてみると、彼は子供と離れたくないからアメリカ大陸以外の仕事はしないと公言していることがわかりました。 他にはジャック・ニクラウス、トム・ワイスコフ、ビル・クーア&ベン・クレンショウなどいろいろな人がいましたが、当時の副支配人で(僕の知る限りで一番のゴルフオタクである)長沼秀明氏からトム・ドークの「ゴルフコースを解剖する」という本をもらいました。これが目からウロコの良本で、この本を書いた人のコースを見てみたい、と思うようになりました。能書きだけで、実際には大したことがないのはよくあることなので、全く期待していなかったのですが、2008年1月になって、ついにその機会が訪れたのです。 取引先の社長が声をかけてくれてオレゴンにあるトム・ドーク設計のパフィフィック・デューンズをプレーしに行くことになったのです。このコースも世界のトップ10ぐらいのコースで、実際行ってみるとこれが最近出来たコースなのか、という佇まいと風格、厳しさをもったコースで驚きました。ビル・クーア&ベン・クレンショウ設計のバンドン・トレイルも素晴らしいコースでした。 トム・ドークの本とコースを実際に見てみて「地形を活かした設計」の真の意味が分かるようになりました。どの設計者もこのことはセールストークとして言うんですが、普通の設計者の場合、実際には活かすどころかメッタ刺しに殺してる感じですね。元ある地形をブルドーザーでぶっ壊して人工的なマウンドの上にティーやグリーンを作っていくからです。 2008年2月、このオレゴン旅行に一緒に行った当時箱根CCのキーパーであった眞利子氏が17番ホールと18番ホールにバンカーを増設中だった京葉に米ゴルフ・マガジンのコースランキングのパネリストであったマサ・ニシジマ氏を連れてやってきてくれました。そこで何気なく「トム・ドークが改造を引き受けてくれないかなぁ?」とつぶやくようにいったところ、ニシジマ氏が「トムに聞いてみようか?高いよ(笑)」と冗談ぽく言うのであまりあてにはしていなかったのですがお願いしました。そうしたら、その次の日ぐらいには「改造は興味はないけど一応地形図だけ送ってもらって」というメールが転送されてきました。軽く衝撃を受けつつすぐに地形図のPDFを添付して返信するとすぐに返事が来ました。今度は様子が随分違っていて「短いほうのアウトコースは面白い地形をしてる。オーナーは距離とかPar72に拘るかな?」という前向きなものでした。彼の本やネットにある色々な書き物を読み漁っていて、彼の考え方はよくわかっていたし、共感していたので「距離やPar72には全く拘らないし、いまのレイアウトは無視して考えて欲しい」と伝えました。 そしてついに2008年7月にトム・ドークが右腕のブライアン・シュナイダーを連れて京葉にやってきたのです。本に載っていた写真は若く痩せていたのに、実物は結構太っていて本当に本人か本気で疑うほどでした。こりゃあ、一杯食わされたかな、と思いましたよ。 実際にはもちろんそんなことはなく正真正銘本人でした。早速現地に入って二日間ほどブライアンと二人で図面片手にコースの隅々を歩いて回っていました。図面でティーとグリーンの候補地のあたりをつけて実際にそのルートで歩いてみて、またクラブハウスに戻って別のプランを考えて実地で確認し、という作業の繰り返しでした。18ホールのティーとグリーンの位置をバランスよく決めるのは本当に一つのアートで、偉大なマエストロにしかできないワザだと思いました。無数にあるグリーンとティーの候補地の中から最良の18ホールを選び出す作業は誰もが解けるパズルではないですね。凡庸な設計家は数ホール印象的なものを選び出すのがせいぜいだし、逆に数ホール素晴らしいものにするのは比較的簡単なことです。 この作業を「ルーティング」と呼びますが、トム・ドークはパー4やパー5をどのような順番で並べるかなんてことは全く考えずに行います。結果的にパー3で始まっても構わないし、パー3やパー5が2つ続いても気にしません(実際にパシフィック・デューンズでは10番11番はパー3)。 こうして僕は京葉の改造計画のラフなプランを手にしたのでした。(つづく)

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