コース管理コストの日米比較

ゴルフ業界向けの雑誌『ゴルフマネジメント』5月号にアメリカのコース管理実態のレポートが載っていたので、京葉CCや国内のゴルフ場と比較しながら紹介したいと思います。このレポートはアメリカのGolf Course Industry誌によるコース管理の実態調査結果を転載したものです(元記事はこちら)。

まず、管理予算は増加傾向にあり、2016年は75万ドルが平均となっています。1ドル110円として計算すると日本円で約8,250万円になります。計上している項目が全く同じかどうか不明なので直接の比較は難しいかもしれませんが、あえて一覧にしてみました。

コース管理予算の日米比較

比較対象の3ゴルフ場はコース管理費の内訳を公表していて、一季出版『ゴルフ場企業決算年鑑平成29年度版』にまとめられているので、そちらから集計しました。いずれも京葉と同時期にオープンしたゴルフ場です。

こうしてみると、意外なことに労務費は日米の別なくどこもだいたい同水準であり、アメリカの肥料薬品費がかなり少ないことがわかります。管理費総額についてもアメリカのほうがずっと少ないことは意外です。

意外な結果の内側を探ってみると

実はこれにはトリックがありそうです。下のグラフを見てください。

これは管理費用の水準別にゴルフ場数を集計したヒストグラムですが、平均である75万ドルを境に山が2つあることが見て取れます。よく見ると20万ドル〜30万ドルのところにも山があります。これは予算が潤沢なプラベートクラブと予算の限られたパブリックコースと、さらに予算が少ない市営のようなムニシパルコースの3つの分布が重なったために生じた山と予想されます。

このように質的に異なる対象が混ざっている場合には「平均」については注意なければなりません。おそらく100万ドル〜150万ドルを頂点とするプライベートクラブの分布、50万ドル〜75万ドルを頂点とする標準的なパブリックコースの分布、20万ドル〜30万ドルを頂点とする超低予算コースの分布に分けられると考えられます。

とすると、プライベートクラブの最頻値ゾーンを日本円に換算すると1.1億円〜1.65億円ということになるので、ここに挙げた4つのゴルフ場の予算と概ね合致する結果になりそうです。

為替レートが変わればまた事情が異なってくるのでなんとも言えませんが、現状では日米ほぼ同じようなコース管理予算規模であると言えそうです。

国内での比較

さて、せっかくなので国内の4コースについてもう少し詳しく見ていきましょう。

京葉の資材樹木管理費です。他のゴルフ場にはこの項目はありません。これは松くい虫防除のための費用や枯れ木の伐採、グリーンやフェアウェイのエアレーションで使う砂代などの費用で、京葉では独立した項目として計上しています。茨城県Oも松の多いコースなのでおそらく諸経費の中に同様の費用が含まれているものと思います。同様に神奈川県Sの肥料薬品費が少ないですが、諸経費に含まれている部分があるのでしょう。

減価償却費を計上しているゴルフ場とそうでないゴルフ場があります。京葉CCではコース管理に関するもの以外も含めて全ての有形固定資産の減価償却費を一括して計上しているのでここには現れません。実態としてはリース物件が多いので、他クラブで減価償却費に相当するものはリース料として諸経費に含まれていると考えていただいて構いません。

関東地方のゴルフ場のみをピックアップして比較しましたが、地域が異なると気候や土壌、物価水準などが大きく異なり適切な比較が難しくなると考え除外しました。同じ関東内であっても1年を通じて雨の多い箱根と真夏が酷暑となる埼玉熊谷周辺のゴルフ場を同じ土俵で較べることは妥当ではありませんし、管理に相当な費用がかかる松が多く分布しているゴルフ場とそうでないゴルフ場を管理総額のみで較べることは妥当ではないでしょう。ですからそれぞれ固有の条件があるので、前提条件に合わせて調整をして比較することが必要でしょう。

まとめ

安易な比較は戒めるべきものとはいえ、国境を超えてコース管理費がどこでもだいたい同じ水準でその中身の構造も似てくるという発見は非常に興味深いものであり、資本主義社会の面白いところだと思いました。

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